この驚くべき発表は、カリフォルニア州の陸運局が、GM傘下のクルーズの自動運転車両が「一般市民に限度を超えたリスクをもたらす」として、州内での運行許可を停止してからわずか2日後に行われた。
クルーズは、カリフォルニア州での運行を停止した後も、アリゾナ州フェニックスやテキサス州の2大都市のオースティンとヒューストンでは営業を継続していた。しかし、同社のロボタクシーは現在、全米で運行を停止している。
クルーズは短い声明の中で、同社がたとえ困難に直面することになっても「信頼回復に向けたステップを踏む必要がある」と述べている。同社は、10月上旬のピーク時に全米で400台のロボタクシーを運行していた。
サンフランシスコ市の監理委員会の委員長でクルーズに対して批判的なアーロン・ペスキンは「この問題は、もはやサンフランシスコだけのものではない。ダムが決壊したような気分だ」とフォーブスの取材に語った。
クルーズの26日の発表は、2日にサンフランシスコで発生した重大事故からわずか3週間後のことだ。この事故で同社のロボタクシーは、別の車にひき逃げされた女性を、車体の下に巻き込んでいた。フォーブスは以前の記事で、被害者がロボタクシーに3メートルも「引きずられた」と報じていた。
カリフォルニア州の陸運局とクルーズは、これが事実であることを認めていた。女性は重体で、現在もプリシラ・チャン・アンド・マーク・ザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院に入院中だとされている。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は17日、クルーズのロボタクシーが歩行者を負傷させた2件の事故報告を受け、同社を調査していると述べた。さらに20日付の関連書簡では、クルーズの車両が「不適切な急ブレーキ」をかけたとされる疑惑を当局が調査中であることが記されている。
業界の専門家はフォーブスに対し、GMがクルーズに行った投資を考えると、同社がこの大きな後退から立ち直るのは難しいだろうと語った。GMは、2023年の第3四半期だけでクルーズに7億ドル(約1050億円)を投じている。
クルーズの主なライバルであるウェイモの元CEOのジョン・クラフチックは、フォーブスに宛てたEメールで「自動運転において最も重要なのは安全性だ」と述べている。「クルーズは会社の立て直しに全力を注ぐ必要がある」と彼は付け加えた。
(forbes.com 原文)