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2023.10.29 08:00

小惑星でのレアメタル発見を目指す「AstroForge」の挑戦

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2024年初めに、NASAのアルテミス計画の一環として月に向かうスペースXのロケットが打ち上げられる。そのロケットに相乗りする小さな宇宙探査機は、月よりももっと遠い、到達するまでに約9カ月が必要な小惑星を目指そうとしている。

Brokkr-2と呼ばれるこの探査機は、カリフォルニア州のハンティントンビーチを拠点とするスタートアップであるAstroforge(アストロフォージ)が、宇宙での貴重な鉱物資源の採掘を商業化する試みの一環として製作したものだ。同社は先月、探査機を小惑星に運ぶためのロケットの点火試験に成功した。

「このテストは、当社のロケットが宇宙を目指す前に達成しなければならない最後の大きなマイルストーンでした。我々は、世界初の商業的な深宇宙ミッションに挑戦する上での本当に良いポジションにいます」と、アストロフォージの共同創業者でCEOのマット・ジアリッチはフォーブスの取材に語った。

小惑星で鉱物資源を採掘するという計画は、まるでSF映画のように聞こえるが、その背後には非常に現実的な理由がある。世界が化石燃料からの脱却を進め、電力への依存度をさらに高めると、より多くの金属が必要になる。しかし、地球の資源は限られており、レアメタルを採掘するのに最適な場所の多くは、すでに掘り尽くされている。

しかし、太陽系の小惑星の多くには、コバルトやニッケル、プラチナなどの未来の産業に必要なレアメタルがぎっしり詰まっており、地球上よりも高濃度で見つかるため、より少量の採掘で多くの金属を手に入れられる。これこそがアストロフォージが開拓を目指す分野なのだ。

宇宙での採掘に挑戦する企業は同社が初めてではない。2010年代初頭には、Deep Space IndustriesとPlanetary Resourcesの2社が合計6000万ドル(約90億円)以上の資金を調達し、大々的な発表を行った。しかし、両社ともその後の10年を待たずに事業を閉鎖した。

ジアリッチはこの2社を強く意識しており、これらの企業の元従業員たちにヒアリングを行ったという。しかし、当時と現在の大きな違いの1つは、スペースXをはじめとする企業が宇宙でのビジネスに関わるコストを劇的に引き下げたことだという。

ジアリッチとともに会社を立ち上げた共同創業者のホセ・アケインによると、10年前なら深宇宙ミッションの実施には数億ドルの費用をかけてロケットを予約する必要があったという。しかし、今では小型の探査機がロケットに相乗りすることが一般化しており、アストロフォージは、Brokkr-2ミッションの総コストを1000万ドル未満と試算している。
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編集=上田裕資

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