「AIが選挙運動をしたり、誰に投票すべきかを話すようになれば、かなり危険なことになります」と、同分野のユニコーン企業Inflection AI(インフレクションAI)のCEOのムスタファ・スレイマンは、先日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のイベントで語った。
マイクロソフトやエヌビディア、元グーグルCEOのエリック・シュミットの支援を受ける評価額40億ドル(約6000億円)のAIスタートアップを率いる彼は「当社は、そのようなことをするつもりはありませんし、他の企業もするべきではないと思います」と述べた。
スレイマンは、AIが人々の投票の意思決定に影響を与えるようなコンテンツの作成や会話をすることを制限することについて、他の主要なAI企業と協議していると述べたが、特定の企業名は挙げなかった。
しかし、インフレクションのチャットボットのPiやChatGPT、アンソロピックのClaude 2.0、マイクロソフトのBing、グーグルのBardなどのボットは、ユーザーが入力したプロンプトに応じて、選挙関連のメッセージを生成することが可能だ。
例えば、2024年の大統領選挙でジョー・バイデンに投票するよう促すZ世代向けのメッセージの作成をPiに頼んでみたところ、次のような文章が生成された。
「ヘイ! バイデンのことを忘れるなよ。彼は何十年もの間、正義と平等のために戦ってきた本当の進歩派なんだ。それに、彼はキミが思っているよりもずっとクールで、アビエイターのサングラスとアイスクリームとクラシックなロックが大好きなんだ」
さらに、BardやChatGPTに、ネガティブな政治広告のためのスクリプトを生成させることも可能だ。フォーブスの指示に応じてBardが生成した民主党を批判するキャンペーンの文言は、次のようなものだった。 「民主党は私たちの価値観から外れている。国境の開放を支持しており、犯罪者や麻薬の流入を許している。彼らは過激なジェンダーイデオロギーを支持し、子どもたちを混乱させている。民主党は危険な存在だ」