変化の激しい現在の状況をうまく乗り切る術を心得ている優れた投資家が、決算発表シーズン中に注目するポイントを説明しよう。
数字の分析
優れた投資家は実際の数字に着目し、前年同期の数字と比較する。例えばネットフリックスは、7~9月(第2四半期)の決算を発表した直後の19日に、株価が16%以上も上昇した。四半期末の9月30日、同社の1株あたり利益は3.73ドルで、前年同期は3.10ドルだった。つまりは20%の増益であり、これが決算発表直後に株価が大きく上昇した一因だ。同時に売上高も、前年同期比8%増で、好意的に受け止められた。前年同期の数字と比較・分析することが重要なのは、季節性があるからだ。周知のとおり、小売関連銘柄は毎年第4四半期が好調で、第1四半期には売上が落ちる。要するに、第1四半期と第4四半期を並べても、適切に比較できないことがある。しかし、第4四半期同士、第1四半期同士を並べれば、より確実な比較分析が可能だ。
アナリストによる業績予想
投資家が注目すべき重要ポイントの2つ目は、企業の業績とアナリストの業績予想を比較することだ。ウォール街のアナリストは、ほとんどの企業について情報を把握し、決算報告の内容を予想している。ある企業がアナリスト予想を上回った業績を上げれば、それはいい兆候だ。反対に、業績がアナリスト予想から大きく外れていれば、すべての条件がすべて同じだとすると、それはよからぬ兆候となる。企業の業績報告をアナリストによる業績予想と照らし合わせた結果は、注目すべきポイントだ。
ガイダンス
優秀な投資家が次に注目するのが、企業が発表するガイダンス(業績予想)だ。そして、目をつけるべきポイントの一つが、予想を上回って、長期のガイダンスを引き上げている企業である。この場合もやはり、すべての条件がすべて同じだとすると、ガイダンス引き上げは強気の表れであり、見通しが明るい兆候だ。とはいえ、ガイダンスを引き下げたのに、その直後の四半期に業績が予想を上回るケースは珍しくない。実際、アップルが長年そうだった。ということで、ガイダンスには気をつけた方がいい。投資家たちに過度に期待を抱かせず、その熱意を抑制する微妙な駆け引きでもあるのだ。
市場の反応
筆者が注目する最大のポイントは、数字に対する市場の反応だ。なぜかというと、市場の反応を見れば、決算発表後に投資家たちが実際にどう行動したかがわかるからだ。すべての条件が等しいとすると、株価が上昇すれば、その状態がしばらくは続く可能性が高く、株価が下落すれば、そのまま下落を続ける可能性が高い。必ずそうなるというわけではないが、たいていはそうした傾向にある。
これらは、優秀な投資家が決算発表シーズンに目を光らせるポイントのごく一部だ。より広範なマクロ環境も考慮に入れる必要があるし、個々人の戦略によっては、他にも検討すべき要素もあるだろう。
(forbes.com 原文)