最近見つけ出したのは、軽量で空中投下ができるBMD-3歩兵戦闘車(IFV)だ。前モデルのBMD-2を踏襲した車体に、より重量のあるBMP-2の砲塔と30mm機関砲を組み合わせている。
乗員、歩兵合わせて7人乗り込める2両のBMD-3が、このほどネット上に出回ったウクライナ前線の写真に登場した。
1990年代に製造されたBMD-3は、BTR-50装甲兵員輸送車よりもずっと新しい。ロシアはウクライナとの1年8カ月に及ぶ戦争で被った5000両超の損失を補うために、退役して数十年経つBTR-50を復活させて戦線に投入した。
BMD-3は、ロシア軍が古いMT-LB装甲けん引車をベースにして作ったDIY戦闘車両よりも、防御力ではるかに優れている。
ウクライナでのBMD-3の登場で奇妙なのは、古すぎるとか、装備が貧弱だとかいうことではない。そうではなく、ロシアの空挺部隊が数年前に、BMD-3のコストが維持に見合わないと判断していたことだ。その判断は、ウクライナでの戦争で変わった。
BMDシリーズの開発は1960年代にさかのぼる。輸送機が1両か複数のBMDを運搬してパラシュートで投下させられるよう、まずは軽量であることを念頭に設計されている。
Aaaand as I predicted BMD-3s are here. Now we wait for BTR-40s and ex-Georgian T-72SIM1s. https://t.co/rr3R3tUVx0
— B-AREV (@trip_to_valkiri) October 23, 2023
ロシアが1980年代にBMD-3の開発を始めた際、ヘリで輸送できるほどの軽さはそのままに、防御力と火力を追加することを目標としていた。
だが、BMD-3は不運だった。ソ連が崩壊する直前の1990年に生産が始まり、その後の経済混乱で生産は短期間で打ち切られた。空挺部隊が入手したのはわずか137両で、数年間だけ使用した後に倉庫入りとなった。
改良を加えられた上でも、BMD-3は維持コストに見合う価値があるという判断にはならなかった。当時、空挺部隊はすでに数千両のBMD-2を運用・保有していた。
だがウクライナに侵攻してからの約2年間で、空挺連隊は250両以上のBMD-2を失った。総数の10%だ。137両あるBMD-3を全て再稼働させれば、BMD-2やBMD-1の損失を補うことができ、ロシアの防衛産業が車両を新規生産する時間を稼ぐことができる。
問題は、次に何が起きるかだ。現在の損失ペースが続けば、早ければ来年にもBMD-3は使い果たされる可能性がある。そうなった場合、ロシアは保管されている冷戦時代の旧式車両にさらに手を伸ばすのだろうか。例えば、1950年代の装輪式BTR-40偵察車両を復活させるのだろうか。
(forbes.com 原文)