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2023.12.12 11:00

人材業界の非常識に切り込む「ダイレクトリクルーティング」で、世の中の働き方を変えていく──ビズリーチを生んだ変革者の思考法

日本で初めて、企業が候補者に直接アプローチするダイレクトリクルーティングプラットフォーム「ビズリーチ」を生み出し、「企業・求職者の情報の可視化」を進めてきたビズリーチ。2020年2月より、Visionalとしてグループ経営体制へ移行した南壮一郎は、「新しい可能性を、次々と。」をグループミッションに掲げ、HR Tech領域での事業成長に加え新規成長事業領域への飽くなき挑戦を続けている。さらなる挑戦へ、南を突き動かすものは何か——話を聞いた。


企業に即戦力人材のデータベースを開放し、転職市場を可視化することで、個人のキャリアの選択肢と可能性を広げていきたい——。「ビズリーチ」のアイデアは、南自身が転職活動で感じた“負”から生まれた。

企業と個人双方の情報が可視化されておらず、主体的にキャリアを選択しにくいと感じていた南は、企業と個人が直接アプローチし合える、オープンな情報プラットフォームをつくることが、日本の働き方を変えていくと考えた。

そうして生まれた「ビズリーチ」は、2009年のサービス開始から14年経った現在、即戦力人材のスカウト可能会員数214万人、累計導入企業数2万6,200社を誇る、即戦力人材における日本最大級のダイレクトリクルーティングプラットフォームへと成長を遂げている。2016年には、人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」をリリースし、採用から入社後の活躍までの従業員情報を一元化・可視化することで、エビデンスに基づいた人財活用を可能にしている。

ビジョナル代表取締役社長 南壮一郎

ビジョナル代表取締役社長 南壮一郎

Visional代表を務めるいまも、潜在的な社会課題から事業の可能性を掘り起こす、南の起業家精神は健在だ。グループミッションに掲げた「新しい可能性を、次々と。」を体現するように、M&A領域やサイバーセキュリティ領域、物流領域での事業成長を見据えている。

南を突き動かす、並々ならぬ好奇心の源泉はどこにあるのか。聞くと、原体験はアメリカの大学受験にさかのぼる。

世界のものさしを持つことが、課題に気付く力になった


「僕は父の仕事の関係で、6歳から13歳までカナダで過ごし、現地校では学年唯一のアジア人でした。言語も話せない、同じ人種もいない。そんな強烈なマイノリティ体験を通じて、異国でのサバイバルで『人と違っていい』と感じられたことが、人格形成の礎になっています。

帰国後、高校は静岡県内の進学校で、周りと同じように日本の大学を目指していたのですが、高校2年の時に、地元の書店で、『世界大学ランキング』という特集を掲載していた雑誌を目にしました。すると、日本で最高峰とされる東大は40位台。上位はアメリカの大学ばかりでした。世界のものさしで見ると、これまで自分が捉えていた大学受験はまったく違うものに見える。そう気付かされ、『自分はアメリカの大学に進もう』と決意したのです」

しかし、高校の教師たちに伝えると、「前例がない」「まずは日本の大学に通い、それから留学すればいいじゃないか」と声を揃えて反対された。当時はインターネットもないなか、書籍を読みあさりながら受験方法などの情報を集め、高校3年の夏休みには単身でスタンフォード大学を訪問。広大なキャンパスを前に圧倒されながらも、自分が選ぼうとしている道は間違っていないと再確信し、周囲の反対を押し切った。

「受験に必要だった英文の成績証明書は校内に存在しなかったので、父親のワープロで自ら作成し、推薦状も、先生と会話しながら自ら翻訳したものを高校に認めてもらいました」

書類が揃ったあと、どの大学に受かるかもわからないため、結果的には、30ほどの大学を受験した。各大学から合格通知が手元に届いた瞬間、それまで味わったことがなかった満足感に浸った。

「前例がないから、自分でやるしかなかったんです。周りからなんと言われようと、自ら考え、自ら志をもち、自らの行動でブレイクスルーを模索する。徹底的な情報収集を通じて目標を定め、改善を繰り返しながら、地道に前進していく。そのプロセスはまさに起業と同じでした」

大学入学後は、語学だけではなく、文化や価値観の壁にぶつかり、人生のなかでもっとも過酷な時間を過ごしたという。それでも、自分が行動して決めた道なので後悔はなかった。

「国をまたぎ、言語を奪われ、それまで信じてきたことの前提条件が何度も覆されながら、培ってきた価値観を捨ててアンラーニングし、リラーニングを繰り返してきました。生き残るために、周りの価値観や評価を観察し、またどんな変化が起きているのかを本能的に感じ取ってきた経験は、確実に僕の土台をつくっています」

企業と個人の「情報の可視化」をキーと定めたビズリーチのサービスは、日本の人材業界の常識を覆したが、世界のものさしで見る視点と日本における課題を観察しながら生まれたものだった。南自身、「グローバルな視点を持ちながら日本における社会の課題を見ることができるのは、僕の大きなアドバンテージである」と話す。

「大学卒業後、世界中で働く友人たちが自らキャリアと向き合い、自ら新しい機会にリーチして行動を起こそうとする姿を目の当たりにしました。企業が個人を選ぶ時代から、個人が企業を選ぶ時代へと必ず日本も変わっていく。世界で起こっていることを知れたからこそ、目の前の現状に対しての課題意識が生まれました。

幼少期から国や言語をまたぎながら得たこととしては、ものの見方や考え方のギャップを感じとる力。どちらがいいか悪いかではなく、双方を俯瞰して対比する力をつけられたことが、最大の成果物だったと思っています」

当時、日本ではまだ馴染みのなかった企業による求職者の直接採用を日本で広げるにはどうすればいいか。こだわったのが、「言葉の持つ力」だった。自分が起こしたい変化をワンフレーズで表現し、それを浸透させることで社会を変えていく。そんな思いから、南は「ダイレクトリクルーティング」という和製英語を生み出す。

こうした言葉に対するこだわりは、2つの言語で育ってきたバックグラウンドが大きく影響しているという。

「言葉がわからないと生きていけない、という瞬間を、子どもの頃から何度も味わってきました。そのなかで得た自分なりのコミュニケーションの本質は『聞き取る力』にあります。英語も日本語もままならず、空気のような存在だったときにも、必ず僕に話しかけようとしてくれる人がいました。その人が何を求めているのか必死に理解しようと、言葉の意味を考えてきた。言葉一つひとつから、世の中が求めているものを理解しようともがいてきたからこそ、言葉には魂が込められていると思えるのです」

時代の変化を捉え、“半歩先”を目指す


2016年にローンチした人財活用プラットフォーム「HRMOS」は、従業員の職務履歴や有するスキル、経験、評価情報など、さまざまな個人や組織の情報をもとに、人と企業の生産性向上を促すシステムだ。タレントマネジメントは、いまや企業の人的資本経営を支える当たり前の概念になっている。ただ、ビズリーチの創業当初は、「人的資本」という言葉すらなかった。

時代をリードするかのような事業づくりの根本には、「常に世の中の潮流を見ながら、半歩先の未来に何が必要になるのかを考えてきた」南ならではの姿勢がある。

「雇用が流動化すればするほど、人的資本経営のニーズは高まります。以前と違い、社内の人材が入れ替わっていくからこそ、経験則や勘だけではなく、しっかりと個人や組織のデータを活用しながら判断がされるべきです。

プロフェッショナル人材における雇用の流動化が起こり、市場原理が働くことにより、優秀な人が強い会社に移り、成長しない会社から人が離れていくことが当たり前になってきました。ビズリーチが事業として捉えた時代の変化のなかで、いずれHRMOSのような人財活用プラットフォームが求められてきます。

社外と社内の労働市場を支えるプラットフォーム同士のデータ連携を通じて、世界には類がない一気通貫型HCM(Human Capital Management)エコシステムを提供することを目指していきます。経営戦略と連動した人材戦略の実践を支援していくことで、企業の新しい人的資本経営の実現をデータとテクノロジーで支えていきたいと考えているのです。

時代の流れのなかで、これから何が必要になるのか。時代より先に行きすぎることなく、変化に沿った地道な事業づくりこそ、僕がずっと続けてきたことです」

ビズリーチとHRMOSは、その連携によって、一層の相乗効果が期待される

ビズリーチとHRMOSは、その連携によって、一層の相乗効果が期待される

半歩先を進む上で、南が続けているのが、徹底した下調べだ。営業活動も新規事業立案も、「7割は事前準備で決まる」との思いから、業界や企業課題を探るべくあらゆる資料や文献にあたり、人にも会いにいく。「僕には特別な才能があるわけではない」というが、一方で、努力では負けたくないという思いは揺らがない。

「僕が大切にしてきた言葉に、『価値のあることを、正しくやる』というものがあります。アメリカの大学受験も、情報を手繰り寄せてやるべきことを徹底的に調べ、目標に対して自らの行動で一つひとつ目標をクリアし続ければ、次の目標が見えてくる。最終的に、どんなことでも覚悟を決めて、やるかやらないかだけなのかもしれません。努力をすることは才能ではないかもしれませんが、“愚直に努力し続ける力”は才能なのかもしれません」

アントレプレナーシップの源泉は「学び続ける」こと


2020年にビズリーチがグループ経営体制に移行するにあたってVisionalを設立したとき、南が描いていたのは「持株会社ではなく、事業支援会社でありたい」という思いだった。認知度が高い「ビズリーチ」というブランドをグループ名として残すのではなく、Visionalという新しい名前を付けた背景には、「変わり続けるために、学び続ける」という強い信念があったからだ。自身の生い立ちでも何度も味わってきたが、新しく何かを得るためには、何かを捨てなくてはならない。

「そもそも名前が新しくなれば、いま、一緒に働いている仲間が全員創業メンバーになれるでしょう。ビズリーチはたまたま7人で始めた会社でしたが、当時、社員はおよそ1,400人にのぼっていました。Visionalという新しい名前のグループになれば、1,400人の創業メンバーとともに立ち上げた会社になれる。ビズリーチという名前に囚われることなく、イメージも何もないまっさらの状態から、再びゼロから会社をみんなと創ってみたかった。最高の仲間と、一緒に新しい時代の歴史を創り続けるんだ、という思いが大きかったんです」

Visional設立の前後、社員から「10年後にどんな会社になっていたいですか」と問われたことがあった。そこまで先の話を考えたこともなかったというが、とっさに出た答えは「いま、想像もできないような会社になっていたい」というものだった。これが自分の本音だったと振り返る。

「世の中がどんな価値観でどんなからくりで動いているのか、誰のどんな決断で一つひとつの産業や会社が動いているのかを、全部知りたいという好奇心は尽きません。目の前の社会の課題をビジネスのフレームワークを活用してどう解決するかを、ひたすら20年以上やってきました。知らない産業に突っ込み、事業づくりを通じて、新しいムーブメントや変革を起こしていくことが大好きなのです。

やってみてダメだったらまた次に挑戦すればいい。失敗を怖いと思ったことはありませんが、新しく何かを始める勇気がなくなっていくこと、現状に満足してしまうことこそが自分自身にとって一番怖いですね」

一貫したアンラーニングとリラーニングの姿勢について、「捨てることややらないと決めることが得意なのかもしれない」という南。「周囲からは『よくそこまで世の中に対しての好奇心が続くよね』とよく呆れられます」と笑う。

「僕自身、変わり続けるために学び続けたいと強い思いがあります。学びこそが、自分自身を変えるための源泉になる。だから、いまも自分の感性を磨くことを大切にしていて、世界中のあらゆる情報に触れる機会を自らに課し、また国内外を旅しながら、人に会い、街をよく歩き回ります。ときに、普段と違う駅で降りて歩いてみたり、面白そうな人をネットで見つけて、ソーシャルメディアで連絡してみたり、意図的に自分のルーティンを崩して五感に刺激を与えていく。感性を磨くための行動がすべて、自分への投資だと思うからです。

学びは、アントレプレナーシップの源泉にあり、その意味で、僕はすべての人がアントレプレナーでもあると思っているんです。自己実現に向かうことがアントレプレナーシップだと思うので、自分が信じることに対して目標を設定し、逆算して戦略を立て行動して結果を出すことはすべて、アントレプレナーシップになるでしょう。事業づくりに限らず、日々の仕事や家庭などのあらゆる場面においても、誰もがアントレプレナーシップを発揮できるものだと思っています」

「一緒に会社をつくってよかった」と思える未来へ
世界に飛び立つ人財づくりを目指す

2023年4月には、南は、幼少期からの夢を叶えた。日本人として初めてニューヨーク・ヤンキースのオーナグループの一人として参画することがMLBの公式ページで報じられた。「いま、想像もできないようなことを実現したい」という南の思いを形にした出来事であり、これからの挑戦にもつながっていく。

「アメリカ国籍でもなく、海外で働いたことがない僕にとって、今回のプロセスは、わからないことだらけですべて新鮮だった。新たな体験は、何度味わってもワクワクします。次の10年、世界で勝負することができたならば、いまは想像もできないような未来がきっと見えます。Visionalのみんなで観てみたいですね、世界を」



その思いは、次世代にもつながれていく。「世界に挑戦するきっかけを創りたい」と、Visionalの全社員のすべての子どもたちに、1、2週間ほどの海外のサマーキャンプ等に参加する留学ファンドを、私費を投じて設立した。一緒に事業づくりに励んでくれた仲間への感謝を、創業者としてどう表現すべきかと考えたとき、出てきたアイデアのひとつだったという。

「僕は、父の仕事のおかげで、6歳のころに初めて世界を見ることができました。父の会社のおかげで、いまの自分があります。同じように、“世界を知る”体験を、未来を担う社員の子どもたちに提供できないか。そう考えて生まれたのが、グループ全社員の子どもたちを対象にした、海外のサマーキャンプに通う機会を無償で提供する留学ファンドです。ひとりでも多くの子どもたちに、僕が学生時代に世界を見て、味わい感じたことをお裾分けしたい。

そして、彼らが30年後にどう世の中を変え、どんな風に社会にインパクトを与えているのかを仲間たちと見てみたいです。Visionalを創った理由が、そこにあるとなったら、めちゃくちゃ面白いじゃないですか。そして『みんなで会社を創ってきてよかった』と心の底から仲間たちと言い合える未来を想像しています」

南は、人の可能性を信じている。だからこそ、その「飽くなき探求心」の中心には、常に「人」があるのだろう。10年後、20年後も新たな挑戦をし、いまは想像もできない姿を見せつけ続けてくれるはずだ。


南壮一郎
ビジョナル代表取締役社長。1976年、静岡県出身。1999年、米タフツ大学卒業後、モルガン・スタンレー証券株式会社(現:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)の投資銀行本部に入社。2004年、楽天イーグルスの創立メンバーとしてプロ野球の新球団設立に携わった後、2009年にビズリーチを創業。その後、採用プラットフォームや人材活用クラウド事業をはじめとした人事マネジメント(HR Tech)領域を中心に、M&A、物流、サイバーセキュリティ領域などにおいても、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する事業を次々と立ち上げる。2020年2月にビズリーチがVisionalとしてグループ経営体制に移行後、現職に就任。2014年、世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出。2023年、デジタル行財政改革会議有識者メンバーを拝命。

Visional
本社/東京都渋谷区渋谷2-15-1
URL/https://www.visional.inc/ja
従業員/2,149人(2023年7月31日時点)

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