避難民たちは、置いてきた端末をハマスが乗っ取り、個人情報を盗み、削除あるいは悪用することを恐れていると、生存者たちを助け、悪事が起きることを防ごうとしているサイバーセキュリティ起業家のガイ・ダガンはいう。
ダガンはイスラエル、クファル・サバ拠点のサイバーセキュリティコンサルタント会社でYael Group傘下のConsientaのCEOを務め、ハマスによる攻撃を契機に設立されたプロジェクト、Civic Center for the Coordination of Cyber Activities(ILC4)の一環として活動している。
サイバーセキュリティ専門家のオハド・ザイデンベーグとガディ・エヴロンが立ち上げたILC4は、避難民らがオンライン・アカウントを取り戻し、二要素認証などを使って侵入の可能性を阻止する手助けをしている。イスラエルのセキュリティ最大手Check Pointは、ILC4に対し避難民のためのアンチウイルスソフトウェアの無制限利用を提供している。また、電子機器を持たずに逃げてきた人々には新しいスマートフォンやノートパソコンが寄贈された。「着の身着のままで逃げてきた人たちもいました」とダガンは語った。
ハマスの手による嫌がらせをすでに受けている人たちもいると被害者らが仮住まいしているホテルを回って話を聞いているダガンはいう。ある生還者は、ハマスの一員が亡くなった友人のスマホから繰り返し電話をかけたりメッセージを送ってきたりしたとダガンに話した。「彼らは避難民たちを脅し恐怖に陥れようとしていました」とダガンはいう。
これは限定された事件ではない。最近ニューヨーク・タイムズ紙は、ハマスが人質のSNSアカウントを乗っ取り、誘拐した家族たちをライブ配信したことを報じている。テルアビブ拠点のメタの幹部も、ハマスが撮影した殺人の動画が被害者の友人や家族に送信されたことを伝える記事をInstagramに投稿した。