欧州

2023.10.24 10:30

米製ミサイルでヘリ21機破壊か ウクライナ、ロ空軍に「過去最大の打撃」

ロシア軍のKa-52攻撃ヘリコプター。2021年4月、サンクトペテルブルク・プーシキンで(JetKat / Shutterstock.com)

M39は1990年代に開発された重量2t、全長約4mの弾道ミサイルで、固体ロケットモーター、M74子弾950個を含む弾頭を搭載する。装軌もしくは装輪の発射機から発射され、慣性誘導で最大165km先の目標に到達できる。
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M39は通常、照準点から約45m内に着弾する。現代の基準からすればそこまで高精度というわけではないが、ATACMSは地域制圧兵器なのでこれくらいの精度で問題ない。

目標に向かって急降下していくにつれて、M39はぐるぐると回転して散開し、鋼鉄とタングステンでできたM74子弾950個が最大数千平方mの範囲にまき散らされる。各子弾は榴弾並みの爆発力がある。

子弾頭は、多数の装備が無防備な状態で置かれている大型施設の攻撃に最適だ。破壊しやすい飛行機やヘリコプター、燃料貯蔵庫、支援装備などが集まる飛行場はその典型だ。
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実際、米陸軍によるM39のテストでは、古いヘリコプターやトラックを置いた模擬飛行場が目標にされた。その映像には、子弾がこれらの機材を次々に破壊していく様子が映っている。

正確な場所に撃ち込まれたM39は、ベルジャンシク郊外の飛行場サイズの飛行場の場合、半分ほどのエリアに子弾が散布されることになる。GeoConfirmedは「この飛行場の全域にわたって小さな穴ができている」と指摘している。

ロシア軍はベルジャンシク郊外の飛行場からだけでも数十機のヘリを飛ばしていた。M74が降り注いできた時、その大半が駐機していた可能性がある。それもあって、GeoConfirmedとFrontelligence Insightは今回の集計結果に自信をもっている。

M39は米軍の開発意図どおりに使えば、ヘリコプターを破壊するのにうってつけの兵器だ。ロシア側はそれに格好の目標を提供した。前線から160km以内の場所に、ヘリが多数集まった飛行場が2カ所もあったのだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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