失敗を恐れるな! 高い理念を持ってトライ&エラー精神で
そこで日本とアメリカの企業家気質の違いについて考えてみました。日本企業は50〜60代が実権を握っていることが多く、経営ジャッジをする場合、「総合的な判断」や「筋を通す」ための事前相談や、関係者や関係団体への「もろもろの配慮」といった気にかけないといけないことも多く、冒険をしづらい傾向にあります。平成や令和ともなると、日本の財閥系は、もう引退すべき世代が重鎮として君臨しているのに対し、アメリカの「ペイパル・マフィア」は、当時30代の若い人物が中心となって構成されているのが違いです。今でもアメリカ企業は、20代を中心とした圧倒的に若い世代が、仲間たちと楽しげに、しがらみなくチャレンジし続けている傾向があります。そこで、日本の若いスタートアップの経営者に、学んで欲しいスピリッツがあるのです。小さなこと、細かいことも大事なのだけれど、もっと大きな社会の流れに乗っていく、まずは一歩を踏み出してみること。インターネットを中心に、AIやSNSなどは、若者が活躍すべき舞台です。年配の力のある人たちを巻き込んで、うまく活用するくらいの厚かましさや、たくましさがあってもいい。実際、重鎮たちの中にも、投資家として若者に協力したい、アドバイザーとしてサポートしたい、という経験者も多いはず。
例えば、車の旅に出るとしましょう。信号がすべて青になることを待っていたら、いつまでも出発できません。まずは、進んで問題があったら対応する、これまでのしがらみを外してゼロベースで「最適解」を選び、とにかく楽しんでやってみる、途中でルートを変えてみる(事業のピボット)、その気楽さがアメリカ式のよいところだと思うのです。これまでの常識に決してとらわれることなく、「世界を変えるほどの大きな視点」で、優秀な仲間たちとの話し合いで、流動的にその都度最適解を考えて方向性を決めていく。そのスピーディーな視点の切り替えや、肩に力のはいっていないスタイルを、私はチャドから学びました。
アップル創業者のスティーブ・ウォズニアックも、そういった起業家でした。彼もお金のためには働かないタイプで、いつも笑顔を絶やさず、仲間との仕事や、人生を最高に楽しむタイプの起業家でした。ウォズは、失敗を恐れるどころか、それを笑い話として楽しむ、そして上手くいった時には、チームと成功を分かち合うといった感性の持ち主で、創業時に40%保有していたアップル株を仲間に譲ってしまった話はあまりに有名です。
一方で、日本の若手起業家やZ世代は、失敗を恐れる傾向が強いのかも…と感じます。私からの提案としては、「まず、やってみる。でも失敗したら、その都度、軌道修正する」というチャレンジ精神で臨んでみてはどうでしょうか。経営理念となるミッションやビジョンやパーパスは、すべて形のないものです。しかしながら、そういった無形の想いを子供のようにひたすら楽しんで追求している人物が成功をおさめている。それが、いまの世界の成功者なのです。
以前、ビズがツイッターの成功について、こう語っていました。「僕はずっと失敗し続けてきた。カードローンが溜まりに溜まって家賃さえ払えない時期もあったなぁ。でも、そんな僕だって世界を変える仕事でNo.1になれるチャンスがある。トライ&エラーでやり続けていたその先に、Twitterという140文字でつぶやくサービスにチームでたどりつけたのだ」と。
ビズ・ストーン氏とのサンフランシスコでの対談は、私の経営するラーニングエッジが、12月に開催する「セミナーズフォーラム」において、全幕公開するのですが、その前に、このコラムのなかで、みなさまにひと足早くその一部を共有させて頂きたいと思っています。