フォックスコンは23日「関連する作業や業務について関連部門と協力する」と述べ「世界的なグループの基本原則」として法規制を遵守することを強調した。同社の関係筋は、今回の報道が来年の台湾の次期総統選に絡む政治的な理由からのものだとロイターに語った。
フォックスコンの創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)は8月、来年の台湾総統選挙に無所属で出馬すると発表した。彼は2019年に経営トップの会長職を退いている。
ゴウは以前から台湾のリーダーになる野心を抱いていた。彼が初めて総統選に出馬しようとしたのは2019年のことで、野党・国民党からの候補指名の獲得を目指したが失敗し、出馬を断念していた。今年も国民党の支持を得ようとしたが、国民党は代わりに台湾最大の自治体である新北市の市長の侯友宜(ホウ・ヨウイー)を選んでいた。
一代で財を成したゴウの保有資産は68億ドル(約1兆円)と試算されている。しかし、中国で大規模な事業を行っているフォックスコンの創業者の彼の政界への進出は、中国政府からの圧力を受けやすいとみられている。フォックスコンは世界最大級の受託製造企業であり、アップル、アマゾン、テスラといった企業の主要サプライヤーだ。
台湾と中国の間に平和をもたらすことを宣言したゴウは、中国の支配下にあったことは一度もないと強調し「彼らの指示には従わない」と述べている。
台湾の陳建仁行政院長(首相)は23日、政府はすでにフォックスコンと接触しており、台湾企業のニーズを注視し、支援を提供し続けると述べた。
来年1月に予定される台湾の次期総統選挙は、米中間の地政学的緊張が高まる中で行われる。中国は、台湾が中国の一部であると主張し、台湾周辺での軍事演習を急激に強化し、政府に圧力をかけている。
(forbes.com 原文)