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2023.10.24 15:00

ベトナムのEV「ビンファスト」、米ファンドから10億ドル調達へ

(C)vinfast

ベトナム一の富豪として知られるファム・ニャット・ブオンが経営する電気自動車(EV)メーカー、ビンファスト・オートは10月20日、米ニュージャージー州を拠点とするヘッジファンド、ヨークビル・アドバイザーズと最大10億ドル(約1500億円)の株式引受契約を結んだと発表した。

この株式売却は、今後36カ月以内であればいつでも実行可能で、ビンファストの株主基盤を拡大し、米国、インドネシア、インドでの工場建設を含む同社の世界的な拡大計画を支援する。

「この取引は、我々の成長に必要な資金の柔軟性を確保するものだ。当社は、今後も他の資本市場取引や資金調達源を模索し続ける」とビンファストの最高財務責任者(CFO)であるデービッド・マンスフィールドは20日の声明で述べた。

45億ドルの資産を持つブオンは、ビンファストが北米や欧州、アジアでEVの出荷を加速させる中で、拡大戦略をアピールしてきた。4月に彼が運営するコングロマリットのビングループは、ビンファストの世界進出を支援するため、新たに25億ドルを投資することで合意した。

2017年に設立されたビンファストは当初、ベトナム北部の港湾都市ハイフォンにある工場で従来型の内燃エンジン車を生産していたが、昨年からEVに完全に軸足を移し、今年から米国市場でテスラへの挑戦を開始している。

ビンファストは、香港のカジノ王ローレンス・ホーの特別目的買収会社(SPAC)との合併を通じ、8月15日にナスダック市場に上場。時価総額は一時2000億ドル近くまで上昇したが、リコール問題や米国での否定的な評価を受け、今年の販売目標が達成できないとの懸念から、株価はピーク時から90%以上下落している。

ビンファストは今年、5万台ものEVを販売することを目標としているが、今年1~9月の販売台数は2万1000台にとどまり、その半数以上がグループ内のタクシー会社、グリーン・アンド・スマート・モビリティに納入されていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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