こうした状況のなか、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが創設したニューロテクノロジー企業Cognito Therapeutics(コグニート・セラピューティクス)は、アルツハイマー病の進行を遅らせ、認知機能を回復させることができる可能性を持つ画期的な技術の開発を進めている。
点滅する40Hz周期の光、そして音で刺激を与えるヘッドセット「GENUS(gamma entrainment using sensory stimulus、ガンマ周波数感覚刺激)」について行った臨床試験(パイロット試験)の結果、この技術は安全で、患者が自宅で使用できるものであるだけでなく、加齢にともなう神経変性による症状を軽減するとみられることが確認されたという。
「GENUS」は毎日の使用によって、長期的にはアルツハイマー病の患者に利益をもたらすものとなる可能性がある。研究チームは最初の実験の後、この仮説について検証するため、臨床試験に参加した患者のなかからアルツハイマー病の初期の症状がある患者を抽出してサブグループとし、第2段階の試験を行った。
試験は15人の参加者を「GENUSを使用」するグループと「光の刺激を与えてホワイトノイズを聴かせる」コントロールグループにランダムに分け、盲検化した上で実施した。参加者たちには事前に、認知評価と脳MRI検査を受けてもらった。
参加者たちには、ヘッドセット型のGENUSを自宅に持ち帰り、6カ月間にわたって毎日1時間、使用してもらった。また、指示に従って行っていることを確認するため、使用するデバイスには、スイッチがオンになっている時間が記録できるようにした。