アップルは、その試みに備えてすでに大規模な人工知能(AI)サーバーを構築し、クラウドベースのAIと、端末内でのデータ処理をサポートする「エッジAI」を提供する予定だとプーは述べている。
この動きは、アップルが今後の数カ月間、新たなAI機能をテストした後に、2024年6月の世界開発者会議(WWDC)で新たなAIコンポーネントを発表することを示唆している。この時点で同社は、iOS 18をパブリックベータテスト版に移行させ、9月のiPhone 16シリーズの発表がそれに続くと予想される。
しかし、このスケジュールは、かなり野心的なものと受け止められ、多くの人が疑問を呈している。アップルはこれまで、Android端末が実現した最先端の機能が一般化するのを待ってから、それを投入するのが常だった。
著名アナリストのミンチー・クオは8月に「アップルが2024年にAIコンピューティングやハードウェア製品を発表したり、統合したりする計画を持っている兆候はない」と述べていた。ブルームバーグのマーク・ガーマンも同様に「アップルは、OpenAIやグーグルらに対抗し得るAIツールに密かに取り組んでいるが、その技術をリリースするための明確な戦略をまだ策定していない」と指摘している。
ただし、アップルがすでにiPhoneユーザーに有益なAIを提供していることを忘れるべきではないだろう。同社のデジタルアシスタントのSiriは、機械学習と自然言語処理を用いて質問を解釈し、答えを提供している。これらのサービスは導入当初は完全にクラウドベースだったが、2021年に一部のデータ処理がデバイス上に移された結果、Siriはデバイス上での検索や画像処理にも貢献している。
しかし、それだけでは十分ではないことが、ここ1年の生成AIの台頭で示された。グーグルは、先日のPixel 8 Proの発表に際し、この端末がハードとソフトの両方にAIを組み込んだ「AIファースト」の革新的端末であることを繰り返し強調した。同様のAI機能が他のアンドロイド搭載に搭載される日も、そう遠くはないはずだ。
アップルの焦り
アップルは、このままではAI戦争において大きな遅れをとることになりかねない。同社は、まだ確定した計画を持たないのかもしれないが、プーの見方によると同社の研究開発チームが何かに取り組んでいることは確かなようだ。アップルがiPhone 16でどこまでAIに取り組むのかはまだわからない。それはSiriの改善に限定されるのか、他のアプリにも導入されるのか、さらには、グーグルのPixel 8 Proが実現した機能を模倣したものになるのかといったさまざまな疑問が浮かぶ。
アップルはグーグルが実現したAIの進化に、iPhone 16シリーズのみで追いつくことができるのだろうか? また、どのように差別化を図るのだろうか? その答えはまだ不明だが、両社の異なるアプローチが、スマートフォンのAIを新たなレベルに引き上げることは確実だ。
アップルのAIへの参入は、早ければ早いほどいいはずだ。
(forbes.com 原文)