イスラエルの隣国レバノンにあるハマス支部に所属するオサマ・ハムダンは19日、同紙に対し、ハマスは人質の「正確な数」は把握していないと説明。「イスラム聖戦」など、ガザを拠点とする他のパレスチナ武装勢力も人質をとっていると語った。
イスラエルなど各国は、ガザで拘束されている人質の即時解放を要求しているが、その人数はこの1週間で若干変動している。ハマス軍事部門の広報官は16日、人質の数は250人で、うちハマスによる拘束が200人、他の組織の人質が50人と説明した。また、これより前にハマスは、イスラエル軍の空爆により人質13人が死亡したと主張していた。
イスラエル軍の当局者は当初、ガザに連れ去られた人質の数を199人としていたが、その後203人に修正。この全員が生存しているとみなしているかどうかは明らかにしていない。
ハマスは16日、ガザで拘束されている仏系イスラエル人女性、ミア・シェム(21)の映像を公開。これは、ハマスがこれまでに公開した唯一の人質映像となっている。映像の中でシェムは、負傷してガザに運ばれたと語り、家族のもとに帰りたいと訴えている。
映像の公開後、イスラエル当局者や各国の首脳はハマスを非難。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「罪のない人々を人質に取り、このようなおぞましい方法で見せ物にするのは卑劣だ」と述べ、シェムを直ちに無条件で解放するよう要求した。
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、公開された映像を「プロパガンダ」と批判し、シェムが「無理矢理、おそらく強制されて証言した」との見方を示した。シェムの母親は映像の公開以来、娘の解放に向けた努力を各国の首脳に訴えている。
ハマスの幹部は16日、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人の釈放の交渉に人質を利用する考えを示した。その後、米NBCニュースは、ハマスが人質の解放について米国、イスラエル、カタールの当局者と交渉していると報道。イスラエルがガザ地区への攻撃を止めれば女性や子どもを解放する意向を示唆したという。だが、そうした取引の存在についてはいずれの当事者も公にはしていない。
イスラエルは2006年、ハマスに拉致された若いイスラエル軍兵士ギラド・シャリートの解放と引き換えに、パレスチナ人の囚人1000人超の釈放に同意した。こうした大規模な取引が今回の件でも可能かどうか、あるいは双方にとって受け入れられるものかどうかは不明だ。
(forbes.com 原文)