30.音を立てるな
これは幼稚園や小学校でも学ぶことなのですが、意外にもできていない人が多い。静かにカトラリーを持ち、静かに料理を食べ易いサイズに切り、音を立てて啜ることなく静かに口の中へ運ぶ。口をしっかりと閉じて料理を噛む。クチャ食いは論外です。31.麺はフォークだけで食べろ
どちらかというとフランス料理よりはイタリア料理における論点ですが、スパゲティなどの麺類はフォークのみで食べ切るのが正統的です。もちろん日本のレストランではスプーンも同時に供されるのが普通なので、それを用いても何ら問題はありませんが、クールではありません。また、蕎麦のようにズズっと啜るのは問題外。先の「音を立てるな」にも通じます。途中で麺を噛み切って食べさしを皿に戻すのもエレガントではありません。上手に食べるコツは、極少量の麺をこれでもかというほどフォークに巻きつけ、一口で頬張り切れる大きさにまとめ上げることです。そうすればフォークからダラとぶら下がることも無くなり、結果として啜ることも噛み切ることも無く、一口で適量を頬張ることができるようになります。
32.食べるスピードを周りに合わせろ
これは大半の男性が苦手とするところ。高級フランス料理とは単にカロリーや栄養を摂取するだけが目的ではなく、建築や調度品、雰囲気などを含めた世界観の全てを味わう舞台です。自己の欲望に任せ自分のペースだけを考えて食事を進めるのは野暮というもの。そのため、共演者である連れの食事スピードを常に意識しながら食べることが肝要です。33.場合に拠っては堂々と手を使え
アミューズや骨付き肉など、手を使って食べるのが前提の料理の場合は、給仕が「お手にとって~」と事前にアドバイスしてくれます。それ以外の食材、例えばエビやカニ、貝、魚の骨など、カトラリーだけでは上手く食べる自信がない場合も堂々と手を使いましょう。もちろんカトラリーだけで美しく食べ切るに越したことはありませんが、それが難しくカトラリーだけではグチャングチャンに食べ散らかすぐらいなら、手づかみで上手に食べ切ったほうがまだマシです。34.卓上に置かれたボウルは手を洗うためのものだ
製菓用のボウルを小さくしたようなボウルに水を張って提供されることがあります。これは手づかみで食事した際に手を洗うための水です。「知らずに飲んでしまった」など都市伝説のような笑い話がありますが、もちろんスープや飲み水ではありません。筆者=タケマシュラン。レストラン紹介メディア「タケマシュラン」運営。日本ソムリエ協会ワインエキスパート、SAKE DIPLOMA。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル。