エシカルを推進するためには?
では、エシカルを推進するために、どのようなことをすれば良いのだろうか。末吉氏は「環境・社会・経済のそれぞれの側面をホリスティック(包括的)に見ること」を強調する。製品・サービスを、「だれが、どこで、どうやって」という視点で、それらの背景を知ることが大事だという。なぜなら「People care when they know(人は知れば、気にかける)」と要約した。
末吉里花氏の登壇スライドより
企業におけるサプライチェーン・マネジメントに関するポイントは、次の5つである。
1. 消費者に選ばれないようなものはつくらない
2. 調達に関する問題発生時のレピュテーション(評判)・ダメージが非常に大きいというリスクを把握する
3. 企業規模を問わず、経営マターとしてサプライチェーン・マネジメントに取り組む
4.常に世界情勢の分析を怠らない
5.以上を経営問題として経営層が把握する
エシカル消費とSDGs
消費者に製品・サービスの背景を知ってもらい、エシカルを広めていくためには、起業が的確に透明性の高い情報開示をすることが重要だ。SDGsでいえば、目標12の「つくる責任 つかう責任」のうち、消費者がどう「つかう責任」を果たすかが要諦だが、情報なしには選べない。末吉氏は「顔の見える、物語がある消費を心掛けること」と表現する。エシカル協会では、2022年の6月に『エシカル白書』を出版した。実践事例も満載だが、白書の目玉となるのが日本におけるエシカル消費動向調査だ。
調査では、エシカルな商品・サービスについて「これまで購入したことがないけれども、今後は購入したいと思っている人」が6割近くいることがわかった。これは、それだけエシカル消費のポテンシャルが高く、企業にはエシカル消費という新しい市場を創出していく価値がある、ということを示している。
最近スウェーデンで視察したという末吉氏 (c)一般社団法人エシカル協会
最後に、エシカル協会による、次のメッセージをご紹介いただいた。
エシカルとは、「エいきょうを シっかりと カんがえル」
「消費者が、自分の消費行動の影響をしっかりと考えるようになれば、それは社会が変わる後押しになるからです」と末吉氏は締めくくった。