サイエンス

2023.10.23 13:30

「ものまね」が上手なオウム、どうやって他の個体の声を認識するのか?

この疑問に答えるためにスミールらは、人間の声の音色から個人を識別する機械学習モデルを使い、オウム類の声を認識するようにモデルを訓練した。訓練後にスミールらは「うなり声」に分類されたさまざまな鳴き声から特定の個体を認識できるかどうか、モデルをテストした。その機械学習モデルは、予想していたよりも3倍良い結果を示した。

この研究は、オウムが固有の声紋を持っているという、一定の証拠を提供するものであり「このため、鳥たちは何をしゃべっているかに関わらず、互いを認識することができるのです」とスミールは話した。

「真の声紋について語るためには、今以上に多くの個体のデータを使って訓練された後でも、モデルが結果を再現できること、そして鳥たちがこの音色を認識できることを、確認する必要があります」とスミールは慎重に指摘し、より総合的なデータとさらなる検証の必要性を強調した。

スミールはすでに生態学の研究を開始し、オウムをGPSでタグづけして、その動きや社会的交流を分類しようとしている。

オキナインコが本当に固有の声紋を持っているのであれば、オウム類がなぜ万能の声を持ち、社会的結束を維持しているのかという謎を解くことができるかもしれないとスミールは考えている。

「この発見をきっかけに、イルカやコウモリなどの、発声を柔軟に変化させられる他の社会的な動物の声紋の研究が進むことを期待しています」

出典:Simeon Q. Smeele, Juan Carlos Senar, Lucy M. Aplin and Mary Brooke McElreath (2023). Evidence for vocal signatures and voice-prints in a wild parrot, Royal Society Open Science 10(10):230835 | doi:10.1098/rsos.230835

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事