サイエンス

2023.10.23 13:30

「ものまね」が上手なオウム、どうやって他の個体の声を認識するのか?

野生のオキナインコ(Myiopsitta monachus)、ブラジルで撮影(Bernard DuPont / CC BY-SA 2.0)

野生のオキナインコ(Myiopsitta monachus)、ブラジルで撮影(Bernard DuPont / CC BY-SA 2.0)

ものまねでよく知られるオウム類は、さまざまな音を模倣する能力を持つだけでなく、それぞれが独自の声を持っていることが最新の研究で明らかになった。

オウムは動物界きってのものまね上手として知られている。複雑で柔軟な発声レパートリーを持ち、生活する中でさまざまな音を学習する。しかし、その広い発声レパートリーにもかかわらず、この才能ある「ものまねタレント」は、自分が属しているコミュニティの中で、個々のメンバーを声だけで識別することができる。どうやっているのか?

それは声紋だ。最近の研究によると、オウムは人間と同じように独自の声紋を持っているらしい。人間の場合、声紋は声道の構造によって作られ、私たちの口調の中に、聴覚的に識別可能なシグネチャー(特徴)を加える。

人間と同じく、オウムも舌と口を使って鳴き声の調子を変える。このため「彼らのうなり声と金切り声は、小鳥たちのきれいな鳴き声よりも、ずっと人間らしい」と論文の主著者で、マックス・プランク動物行動研究所の行動生態学者、シミオン・スミールは語る(スミールは現在デンマーク、オーフス大学の博士研究員として、受動的音響手法を用いてコウモリの声を観察している)。

しかし、声に固有の特徴を持っているのは人間だけではない。鳥類、コウモリ、イルカなども独自の「認識コール(signature call)」を発声することで、コミュニティ内のメンバーを個別に識別することができる。しかし、個人の名前のように使用されていると思われる認識コールは、鳴き声のタイプの1つにすぎない。そして、動物が発する鳴き声のすべてに、固有の音声シグニチャーが埋め込まれていることを示す証拠が、最近になって見つかった。

スミールは思いを巡らせた。果たして、相応の生体構造を持ち、人間同様に複雑な社会生活を送る必要があると思われるオウムも、進化によって固有の鳴き声を作り出したのだろうか? つまり、オウムは、それぞれの個体が発するすべての鳴き声に、固有の声紋を持っているのだろうか?
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翻訳=高橋信夫

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