メディア各社の報道によれば、米政府はこれまで2400万回分の治療に必要なパクスロビドを1回分当たり約530ドルで購入し、無料で配布してきた。1390ドルという価格は来年の商業販売開始にともない適用されるもので、政府の買い取り額の2倍以上となる。
患者の自己負担額は、これよりも低くなる可能性が高い。米CNBCテレビや米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、医療保険会社とファイザーとの間で今後行われる交渉により、多くの保険プランを対象に大幅な値引きが適用される可能性がある。
ファイザーは先週、米政府が購入したパクスロビドの在庫を引き取ることに同意。2023年のパクスロビドの売上高予測を80億ドルから10億ドルに引き下げた。
米政府の先週の発表によると、保険未加入者や、公的医療保険の「メディケア」や「メディケイド」加入者に対しては、政府が調達したパクスロビドが2024年末まで無料で提供される。ファイザーは25年から28年にかけ、政府が調達したパクスロビドを保険未加入者に対し提供する患者支援プログラムを実施すると同時に、民間保険加入者を対象とした自己負担金補助プログラムを2028年まで実施する。
パクスロビドは新型コロナ対策で重要な役割を果たし、高リスク患者の死亡率を減少させたという研究結果も出ている。しかしファイザーは、ワクチン接種率やパクスロビドの利用ペースが予想を下回ったことなどから、新型コロナ関連製品の売上高減少を予測。先週の発表で、新型コロナワクチンとパクスロビドの通年売上高見通しを従来から90億ドル引き下げて約125億ドルとし、損失分を補うために35億ドルのコスト削減策を実施する方針を示した。
(forbes.com 原文)