太陽光発電に関する2つの「神話」がエネルギー転換を遅らせる

研究者たちは、最も一般的な2種類の太陽光発電モジュールには、これらの有害物質が「ほとんど」含まれていないことを示した。最も一般的なモジュールである結晶シリコンに含まれる鉛は0.1%未満で、これは通常、鉛はんだで使われるものだが、製造業者によって段階的に使用されなくなっている。一方、こちらも非常に一般的なモジュールであるテルル化カドミウム(CdTe)は0.1%未満のカドミウム含有量があるが、使用されているカドミウム化合物は極めて安定しており、リサイクル工程で回収できる。

実際、太陽電池モジュールのリサイクルは「太陽光発電のサプライチェーンを脱炭素化し、廃棄物を最小限に抑えるために不可欠」であると著者らは指摘している。また、太陽電池技術は急速に進歩しており、製造業者は、ソーラーパネルの寿命を50年にすることを目標にし始めているとも述べている。

バーンズは今回の研究が、再生可能エネルギーに関して十分な情報を得た上で、投資について合理的な判断を下したいと考える規制当局や地域社会にとって「事実とデータの客観的な情報源」となることに期待を示した。そして「太陽光発電と風力発電の導入拡大は、我々が現在、手にしている脱炭素化のための最も効果的かつ迅速な選択肢だ」とバーンズは付け加えている。

英バース大学気候変動および社会変容センター(Centre for Climate Change and Social Transformations)の所長を務める研究者ロレイン・ウィットマーシュは、再生可能エネルギー一般に関して誤った情報が流れている状況のなかで、NRELの研究は重要な役割を果たしたと指摘する。「この種の否定的な主張は、それが事実であろうとなかろうと、技術革新の成功を著しく妨げたり、後退させたりする可能性がある。【略】それらは、中道右派によるネットゼロ政策への反発の高まりや、生活費に関する、より広い国民の懸念に共鳴する可能性がある」

ウィットマーシュはNRELの研究には関与していないが、心理学の研究によれば、人は肯定的な情報よりも否定的な情報に注意を払う傾向があるため、太陽光発電に関する誤った情報は特に影響が大きかったという。「肯定的な情報で新製品に対する信頼を築くのは大変だが、否定的な情報はほんの少しで信頼を損なうことになる」

とはいえ、太陽光発電への世界的な投資は、引き続き活発化しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)は5月、2023年には太陽光発電への投資が、石油生産への投資を初めて追い越すだろうと発表した。

forbes.com 原文

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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