アマゾンによると、処方薬をドローンで届けてもらえるようになるのはテキサス州カレッジステーション在住の顧客。オンライン薬局「Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)」で注文すると1時間以内に受け取ることができるという。対象となる医薬品はインフルエンザや喘息(ぜんそく)、肺炎などの治療薬を含む500種類以上におよぶ。
アマゾンのドローンは地上から約120mまでの高度で飛行し、配達先ではペットや子ども、障害物などがないか確認したあと、荷物を落とす。
アマゾンによると、アマゾン・ファーマシーのドローン配送サービスはほかの地域にも拡大する見通しだが、時期は未定となっている。
アマゾンは昨年、商品を「迅速」かつ「コスト効率よく」配送する取り組みの一環として、カリフォルニア州ロックフォードでドローン配送サービス「Amazon Prime Air(アマゾン・プライム・エア)」の提供を始めていた。ただ、CNBCによると、今年中に米国でドローン配送を1万回行う目標を掲げていたが、5月時点でわずか100回にとどまっていたという。
アマゾンのジェフ・ベゾス前最高経営責任者(CEO)は2013年、「プライム・エアのドローンは、道路を走る郵便トラックと同じくらい普通の光景になるだろう」と予言しつつ、米連邦航空局(FAA)による承認や規制の整備には「数年」はかかるとの見通しを示していた。FAAはアマゾンによるドローン配送の申請を2020年に承認している。
ドローン配送のスタートアップも台頭
ドローンによる処方薬などの配送は米国のほかの企業や医療機関も試している。物流大手のUPSは2019年、ノースカロライナ州ケアリーで、CVSヘルスの薬局からドローンを使って処方薬を配送することに初成功。両社は翌年、フロリダ州ザ・ビレッジズにサービスを拡大すると発表した。ただ、AP通信がCVSの広報担当者の話として伝えているところによると、UPSとのドローン配送サービスは現在は行われていないという。大手医療機関のインターマウンテン・ヘルスケアも昨年、ユタ州のソルトレイク郡とユタ郡で処方薬のドローン配送を始めると明らかにした。APによれば、ドローン配送スタートアップのZipline(ジップライン)と提携したこのサービスをさらに拡大する方向だという。
このほか、小売大手のウォルマートも今年、アルファベット傘下のドローン配送スタートアップ、Wing(ウィング)と組み、ドローンによる商品配送サービスをテキサス州ダラスに拡大すると発表している。ただ、処方薬は対象になっていない。
アマゾンのドローン配送をめぐっては、ロックフォードやカレッジステーションの一部住民から懸念の声も上がっている。アマゾンの広報担当者は米ネットメディアのインサイダーの取材に、「安全性が当社の最優先事項だ」と強調している。
(forbes.com 原文)