空が雲に覆われると、渡り鳥は生まれつき備わっている自身の磁気受容体に頼り、地磁気のコンパスに従って進まなければならない。コンパスは鳥の目の中にあると考えられており、一部の鳥は実際に地球の磁力線を視覚で感じている証拠がある。
だが、宇宙天気と太陽フレアがこの磁力線をめちゃくちゃに乱すと、事態が間違った方向に進む恐れがある。時には、人間が作り出した障害物、例えば鳥が自然と引き寄せられる人工照明などでさえも、10月初めに米シカゴで起きたような悲惨な結果を引き起こす場合もある。約1000羽の鳴き鳥が命を落としたのは、ミシガン湖上空を飛行中、荒天のせいで正しい進路から外れ、シカゴのマコーミック・プレイス・コンベンションセンターの窓の照明に引き寄せられた結果だ。
高層ビル、灯台、通信塔などが鳥に及ぼす脅威については、よく知られている。特定の種類の鳥が持つナビゲーション能力を地磁気がどの程度混乱させるかは、全体的に不明な部分が多いままだ。
米ミシガン大学アナーバー校の鳥類学・進化生物学専攻の博士課程学生、エリック・ガルソン・カスティーヨは電話取材に応じ、地磁気が乱れている(地磁気擾乱)間に鳥のナビゲーション能力が通常より低下するのを、研究チームは実際に確認しており、夜空の星が使えない場合に磁気コンパスがより重要になることの証拠があると語った。