ガルソン・カスティーヨと研究チームは今回の研究のために、ドップラー気象観測レーダー基地と(局所磁場の強さを測定する)地上の磁気観測所のネットワークで収集されたデータセットを用いて、地磁気の擾乱と夜行性の鳥の渡り行動の混乱とが関連している可能性を調べたと、ミシガン大は説明している。
ガルソン・カスティーヨによると、春と秋の期間にわたり、鳥の渡り個体数が10~17%減少したことを、研究チームは発見した。地磁気擾乱が強い状況では、渡りをする鳥の数がより少なくなるという。
研究チームのデータの期間は、3~6月と8~11月中旬となっている。
各レーダーのサンプリングを行うために、研究チームは、渡り移動量(群れに含まれる鳥の数)と移動の速度および方向の鉛直プロファイル(分布)を、地上100~3000mまでの100m間隔で作成した。このプロファイルの作成には、半径100kmにおよぶ範囲のデータを使用した。また、調査対象エリアを含む中緯度地域では、大規模な磁気嵐が磁場強度の局所的な低下を引き起こすと、研究チームは論文に記している。
ミシガン大によると、今回の研究では、秋に170万回、春に140万回実施したレーダースキャンの結果と、米国の西部と中西部の大平原グレートプレーンズ全域の鳥の渡りに関する23年分のデータセットを用いている。レーダー画像は、テキサス州からノースダコタ州まで1600km以上におよぶ中央飛来経路に位置する37カ所のNEXRAD気象レーダー基地で収集した。
夜に紛れて飛行する
渡り鳥の大半は、夜間にしか移動しないと、ガルソン・カスティーヨは指摘する。タカ類などの注目すべき例外はあるが、小型の鳴き鳥の大半は夜間にのみ移動するという。それはなぜか。
夜間の方が熱的に効率が高い、つまり昼間ほどオーバーヒートしないからだとガルソン・カスティーヨはいう。また、タカのような捕食動物に見つかる可能性も低い。風の抵抗が小さく、大気が穏やかなため、夜間に飛行する方がエネルギー的に効率が良いことを、鳥たちはわかっていると、ガルソン・カスティーヨは話す。