18日の『Journal of the American Medical Association』に発表された研究によると、妊娠前後に長期間大気汚染にさらされた女性は、産後うつ病になる可能性が高い。
研究者らは、2008年1月1日から2016年12月31日の間に出産した34万人以上の女性を分析し、妊娠中に大気汚染にさらされると、産後うつ病のリスクに影響するらしいことを発見した。
母親のさまざまな背景を調査した研究者らは、大気汚染と産後うつ病との関連は、25~34歳、高学歴、アフリカ系米国人またはヒスパニック系、そして低体重の母親で強いことを発見している。特に懸念される汚染物質としては硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム、オゾン、クルマのエンジンから発生するブラックカーボンが挙げられた。
研究者らは、特定の汚染物質に焦点を当てることができたので、産後うつ病を軽減するために公衆衛生上の介入が可能かもしれないと述べているが、具体的な介入策は示していない。
研究者によると、産後うつ病を経験する母親の割合は9%である。
メイヨー・クリニックによると、最も一般的な出産合併症の1つである産後うつ病は、激しい気分の落ち込み、赤ちゃんとの絆を築くことの困難さ、引きこもり、絶望感、疲労感などが含まれ、出産後に始まり、最長で1年間続くという。
今回の研究以前にも、研究者たちは大気汚染とメンタルヘルスの問題を結びつけていた。これまでの研究では、大気汚染と自殺、うつ病、統合失調症との関連性が指摘されてきた。今年初め、研究者たちは約900万人のメディケア患者の記録と郵便番号に基づく大気汚染レベルを比較し、高レベルの大気汚染とうつ病の発症との間に統計的に有意な関連があることを発見した。
2021年の研究では、双極性障害やうつ病などの患者が、大気汚染にさらされた場合、入院する可能性が高いことが明らかになった。この発見により、英国王立精神医学院会長エイドリアン・ジェームズは、メンタルヘルスサービスへの負担を軽減するために、大気の質を改善することを推奨している。
(forbes.com 原文)