ヘルスケア

2023.10.19 14:00

「スヌーズ」ボタンは悪なのか? 眠気増大の一方でメリットも

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目覚ましの「スヌーズ」ボタンを使用する人は、使用しない人よりも強い眠気を感じる傾向があるものの、それでもスヌーズを使ってベッドですごす時間を少し延ばすメリットはあるかもしれないとの研究結果が発表された。

17日に学術誌Sleep Research(睡眠研究)で発表された論文によると、スヌーズボタンを使う人は使わない人に比べ、目覚めたときに眠気を感じる確率が約3倍だった。スヌーズを使わない人はそもそも目覚ましを使わないか、アラームが鳴るとすぐに目覚めるからだ。

研究チームは、1700人以上を対象にアンケート調査を実施。うち約250人は目覚ましを使わない人だった。

スヌーズを使用する人のうち、約71%が仕事の日に使用、23%が仕事の日と休日の両方で使用すると回答。スヌーズボタンを押した後にまた寝てしまうことが「頻繁に」または「常に」あると答えた人は合わせて60%に上った。

スヌーズボタンの平均使用時間は1日22分間だったが、仕事の日の平均睡眠時間は使わない人と比べ13分短かった。休日の睡眠時間には有意な差は認められなかった。使用傾向には年齢差があり、使用する人はしない人に比べて平均6歳若かった。

研究チームは続いて、31人を対象に3夜にわたる実験を実施。起床後の眠気、コルチゾールレベル、気分、認知能力を測定した。

すると驚くべきことに、スヌーズを使用した人は、使用しなかった人と比べ、認知テストで単純な足し算の問題を解く速度や記憶力が向上していた。ただし能力向上は目覚めた直後のみで、起床40分後に再測定した際には通常のレベルに戻った。

研究の共著者であるストックホルム大学のティナ・スンデリン博士は、スヌーズボタンを押すことでわずかな睡眠時間を失うものの、「快適に」使えているのであれば使用を避けないほうがよいと助言。朝の眠気に悩んでいる人は、スヌーズボタンの使用により、よりすっきりした目覚めを得られる可能性があると指摘した。

米国の睡眠医学会と睡眠研究協会によると、1日の睡眠時間は18~60歳の成人で少なくとも7時間、12~18歳は8~10時間、6~12歳は9~12時間が推奨されている。

米疾病対策センター(CDC)によると、睡眠不足は2型糖尿病、うつ病、心臓病、肥満などの慢性疾患と関連している。医学誌PLOS Medicineで昨年発表された研究結果によると、1日の睡眠時間が5時間未満の50歳以上の成人は、脳卒中、心臓病、認知症、うつ病、肝臓病、腎臓病などの慢性疾患を発症する可能性が30%高くなる。その理由は明言されていないが、他の研究では、睡眠不足が食欲に影響を与えるホルモンの変化、エネルギーの低下、意思決定の阻害につながり、免疫系を損なう可能性が指摘されている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛・編集=遠藤宗生

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