また、米国のシステムでは、「投資家としての役割」と「取締役としての役割」がより明確に区別されていると思います。どの投資家が会社の監視・監督を主導するべきかと言えば、それは疑う余地もなく「取締役」を務めている投資家の役割であり、最たる責任です。
ちなみに、私はこれまで2社の投資先のみにおいて取締役になることを選択しています。1つは(すでに退任しましたが)SmartHRで、もう1つはカミナシです(今年、シリーズBのリードインベスターを務めた後に就任しました)。
私は、取締役として効果的に貢献するためには相応の時間やリソースが必要であると考えています。それにより取締役としての責任にコミットできる投資先の数も必然的に制限されるため、慎重に選択するようにしているのです。「資金」ならもっと調達できますが、私自身の「時間」はこれ以上は調達できないからです。
今後、米国モデルのメリットをより多くの日本のスタートアップや投資家に検討していただけることを願っています。アーリーステージにおける負担を減らし、役割分担を明確化するこのアプローチを採用すれば、より集中的な成長や、より建設的な起業家と投資家の協力体制の実現が期待できるでしょう。
P.S. 個人的には、Y Combinatorのブログで紹介されているAnu Hariharanの「How to create and manage a board」が、スタートアップにおける取締役会の始めかたや運営方法をまとめたガイドとして最もおすすめです。英語の記事ですが、DeepLやGoogle翻訳などにかければ日本の読者の方も読めるはずです。
連載:VCのインサイト
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