VC

2023.10.19 11:45

日米でスタートアップの株主ミーティングはどう違うか

もうお分かりかもしれませんが、個人的には米国のアプローチを強く推奨しています。シードステージでの定例会議は、関係者全員にとって負担が大きすぎるように思えるからです。会社が成長して、より多くの株主が株主名簿に加わるようになった場合も、多くの参加者で混雑した会議室はもはや「会社の方向性についての丁寧な議論の場」ではなく「ただのプレゼン会場」になってしまうでしょう。関係者全員の時間的負担は言うまでもありません。

また、米国のシステムでは、「投資家としての役割」と「取締役としての役割」がより明確に区別されていると思います。どの投資家が会社の監視・監督を主導するべきかと言えば、それは疑う余地もなく「取締役」を務めている投資家の役割であり、最たる責任です。

ちなみに、私はこれまで2社の投資先のみにおいて取締役になることを選択しています。1つは(すでに退任しましたが)SmartHRで、もう1つはカミナシです(今年、シリーズBのリードインベスターを務めた後に就任しました)。

私は、取締役として効果的に貢献するためには相応の時間やリソースが必要であると考えています。それにより取締役としての責任にコミットできる投資先の数も必然的に制限されるため、慎重に選択するようにしているのです。「資金」ならもっと調達できますが、私自身の「時間」はこれ以上は調達できないからです。

今後、米国モデルのメリットをより多くの日本のスタートアップや投資家に検討していただけることを願っています。アーリーステージにおける負担を減らし、役割分担を明確化するこのアプローチを採用すれば、より集中的な成長や、より建設的な起業家と投資家の協力体制の実現が期待できるでしょう。

P.S. 個人的には、Y Combinatorのブログで紹介されているAnu Hariharanの「How to create and manage a board」が、スタートアップにおける取締役会の始めかたや運営方法をまとめたガイドとして最もおすすめです。英語の記事ですが、DeepLやGoogle翻訳などにかければ日本の読者の方も読めるはずです。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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