有効な企業共創の手法
そうした共創の「手法」に最適な方法はあるのだろうか。審査会でも「依然として各々の会社特有の組織文化やプロセスがあり、さらに業界を超えると共通言語も乏しいなかで協業は容易ではなく、いまだ圧倒的成功事例があるとはいえない」との声があった。そんななか、受賞プロジェクトは以下のような特徴が評価されていた。審査員の鈴木絵里子は語る。「共創相手双方のビジョンやミッション、ビジネス意義について深く対話をされ、時間をかけてでもアライメントを図り、ウィンウィンの構図をつくり上げる努力をしていた」。例えば、女性活躍/ダイバーシティ部門を受賞した、フェムテックコミュニティのプロジェクト。
業界全体に広がるこの取り組みは、各企業にあるデータや技術を企業間で共有、活用するものだが、各社のビジョンや目標を共有しながら、ワークショップで広く深く対話をすることにより、業界全体の目指す方向をかたちづくり、ビジネスに落とし込むという流れができていた。業界横断で課題解決に取り組むこの方法は、ほかの業界においても再現性がありそうだ。日本におけるジェンダー・ダイバーシティはいまだに世界に大きく後れをとっており、社会全体に関わる重要な課題解決につながるとして、高い評価と賛同の声を集めた。
このようなクロストレプレナーのあり方や進め方に関しては、知見がたまってきており、より具体的に戦略的に課題を解決していくところまで落とし込んでいくプロジェクトが増えている。サービスや製品を一緒につくるだけの「協業」から、社内外に影響をあたえる「共創」へ進化してきている。