カルチャー

2024.11.10 14:15

「世界で最も美しく壮麗な公衆トイレ」はどこにある?

Wonderfulengineering

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賑やかな南京のショッピングセンターの6階に、イノベーションと芸術的表現の証となるトイレがひっそりと佇んでいる。このトイレは、地球上で最も精巧な公衆トイレのタイトルを争うことができるほど美しく、実用的な目的を果たすだけでなく、平凡なものを非凡なものへと昇華させる、隠れた逸品である。
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このトイレは、上海を拠点とする建築事務所X+Livingの独創的な頭脳によって作られた。中国・南京のショッピングモール「徳治広場」内にあり、訪れる人を酔狂な世界へといざなう傑作だ。

あやまって魅惑的な宮殿に足を踏み入れてしまったか、というのがトイレに入って最初に抱く印象であり、一般的な実用的な公衆トイレとはかけ離れた体験ができる。その旅は、まるで壁から出現したかのような、緑豊かな植物で飾られた廊下から始まる。

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通路は、庭園を散歩しているような没入感を味わえるように工夫されている。しかし、自然が織り成す静けさとは対照的に、天井からは立派なランプが多数吊るされ、光沢のある床の上で輝いている。
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廊下を抜けると、繊細な花びらを思わせるソファが置かれたラウンジエリアが訪れる人を迎える。このスペースは、トイレを使用している同伴者を待つ人たちのためのものだ。その先には、男性用、女性用ともに、特注の装飾が施された細部へのこだわりがみえる。特筆すべきは、噴水からインスピレーションを得た洗面台が、大人も子供も便利に使えるように、さまざまな高さに配置されていることだ。

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デザイナーの李翔氏は、「ショッピングモールのトイレは、誰にでも開かれた公共スペースであり、忙しい都市生活を送る人々に、休憩や身だしなみを整えるスペースを提供します。ショッピングモールの意外な一角に人間的な配慮を反映させるため、トイレのデザインに重点を置くことを提案しました。それが、『サンクチュアリ・ガーデン』というコンセプトです」と語る。



このトイレのデザインからは、抽象的な幾何学模様、花や昆虫にインスパイアされたモチーフ、豪華な洗面台、豊富なLEDのアクセントが折衷的に調和していることがわかる。その様式的な分類は正確な定義には至らないかもしれないが、ショッピングモールや公共のトイレに関連する従来の期待とは明白に一線を画している。

不思議なことに、中国にはもうひとつ壮大な建築物がある。都江堰にある「都江堰中書閣」は、世界で最も素晴らしい本のオアシスのひとつとして知られている。この気取らない南京のショッピングモール内には、壮麗なトイレと真のオアシスが共存しており、建築的な驚嘆を好む中国を体現しているのだ。



(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

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