追加装甲の歴史は機械化戦の歴史と同じくらい古い。だが、ドローン(無人機)による上空からの攻撃やミサイルによるいわゆる「トップアタック」(高高度に上昇して飛翔後、急降下して車両上部をたたく攻撃)を防ぐためのコープケージが登場したのは、つい最近、ロシアが1年8カ月前にウクライナで拡大した戦争中のことである。
こうしたコープケージの使用はさらに広がりつつある。ハマスの襲撃によってイスラエル人や外国人1400人以上が殺害・拉致されてから9日後、イスラエル軍の動員の様子を捉えた写真からは、コープケージを付けたメルカバ戦車の姿が多数確認できる。
一般論としては、イスラエルが自国最高の性能を誇り、最も数の多い戦車に急いでコープケージを追加した理由は明らかだろう。ただ、そのケージがメルカバの最も弱いところを守ってくれるのかとなると、こちらはそれほど明らかではない。
爆薬を積んだ小型ドローンは戦車をはじめとする装甲車にとって深刻な脅威であり、その脅威はますます大きくなりつつある。擲弾(てきだん)を投下するクワッドコプター(回転翼が4つのドローン)や自爆型のFPV(一人称視点)レーシングドローンは、せいぜい数千ドル程度の市販品を利用するものだが、ロシアとウクライナの戦争で数百万ドル相当の双方の戦車を何百両も撃破している。
ハマスもまたイスラエルの戦車に対して使っている。ハマスは7日にイスラエル南部に侵入した際、ガザ地区との約65kmの境界壁沿いにあるイスラエル軍の前哨基地も攻撃した。
#BREAKING Hamas armed drone strike on Israeli Merkava 4 tank. pic.twitter.com/e8gph7tYVK
— Clash Report (@clashreport) October 7, 2023