マナウスの港の水位は16日に13.59mを記録。ロイター通信によると、1902年に観測が始まって以来最低で、降水量も1980年以来最も少なくなっている。
この深刻な干ばつの原因はエルニーニョ現象である可能性が高いとロイター通信は報じている。同現象では海面の水温が上昇し陸海で猛暑を引き起こす。アマゾン川流域では40万人近くが干ばつの影響を受け、希少生物のイルカが100頭以上死んだという。
ブラジルだけでなく、欧州やアジア、アフリカ、北米の国々も干ばつに見舞われており、世界の食糧供給に影響が出ている。また、干ばつは記録的な高温の一因にもなっている。
米海洋大気庁(NOAA)は干ばつに関するレポートで、スペインやイタリアでは今夏、厳しい干ばつによりマンゴーやアボカド、デュラム小麦の生産量が激減したと指摘。ポルトガルでは水や穀物の不足により多くの農家が農業や畜産をやめたり、家畜の飼育数を減らしたという。
アジアではインドの約23%が今夏干ばつに見舞われ、トルコ最大の都市イスタンブールでは住民に節水を要請。アフリカでは8月は少なくとも1910年以降で最も気温が高くなり、同月末にはアフリカの23%が干ばつに見舞われた。
ブラジルの深刻な干ばつはアマゾン川流域に住む推定3000万人の暮らしを脅かしていると英BBCは報じている。へき地への食料や医薬品、水の地上供給ルートが断たれているという。川の水が干上がって船で物資を運搬できなくなったため、飲料や入浴のための水を確保しようと手で井戸を掘ることを余儀なくされた人々もいる。
BBCによると、地域住人が見たことがないほど大量の魚やイルカが死んで打ち上げられ、研究者たちが現在、死因を調べている。アマゾン熱帯雨林は地球上で最も生物の多様性に富んだ場所の1つであり、約700万平方kmに300万種を超える動物が生息し、2500種超の樹木が自生している。
米イエール大学の気候関連のウェブサイト『イエール・クライメート・コネクションズ』によると、人間が引き起こしている気候変動により地球の気温はここ数年上昇傾向にあり、そうした気温の上昇は干ばつのリスクを高める。気温が高くなると土壌や植物の葉から水分が失われ、水分の蒸発が速くなり、降雪量が減少する。降雪は北半球に住む19億人もの人々にとって重要な水源と考えられている。
米公共ネットワークPBSは、社会と水資源の関係の変化についての論文を掲載する『ネイチャー・ウォーター』に3月に発表された研究論文で、地球の気温が上昇するにつれ、極端な干ばつと降水(または降水不足)が「急激に」に深刻なものになっていると指摘されたと報じた。化石燃料の燃焼や温室効果ガスを排出するその他の人間の活動がますます壊滅的な干ばつを引き起こしていると科学者らは警告している。
(forbes.com 原文)