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2023.10.18

次々誕生する「CAIO(最高AI責任者)」 その役割と責任

Getty Images

企業や組織でこのところ話題になっているのが、最高AI責任者(CAIO)の新設だ。CAIOとは、人工知能(AI)を安全かつ生産的なかたちで事業に取り入れる責任を担う役職だ。

最高デジタル責任者(CDO)をはじめとした経営陣のコミュニティー「CDO Club」の創設者で会長のデイビット・マシソンは、職業に関する月次アップデートで「最高AI責任者」という役職を追跡調査しているが、2023年9月1日以降だけでも、新たに7人のCAIOが誕生したという。「世界全体ではまだ数が少ないものの、採用は増え続けている」とマシソンは話す。

広告代理店グループWPPのCAIOを2021年から務めるダニエル・ヒュームは、先ごろCNBCに出演し、CAIOの役目や責任について次のように説明した。「CAIOが最初に取り組むべきは、AI技術とAI技術を使って組織が抱える問題やあつれきを解決する最善の方法を理解することだ」

「課題は、このアルゴリズムの複雑な世界をしっかりと把握することだ。CAIOはこうしたAI技術を、安全でセキュアな方法で管理しながら活用する必要がある。また、こうした技術がもたらす倫理的な影響やその結果を自覚する必要もある。私はCAIOとして技術とプロセスの両面を設計し、変化を遂げる世界にすみやかに適応できるようにする役目を担っている」

CAIOという役目に就くために必要なことは何だろうか。リサーチ・アドバイザリー企業Constellation Researchの主席アナリストであるアンディ・スライと、最高経営責任者(CEO)のR・“レイ”・ワンは、最新分析リポートで「CAIO就任への道はさまざまにあると見られる。たとえば、最高技術責任者(CTO)や最高デジタル責任者(CDO)、最高情報責任者(CIO)、最高リスク責任者(CRO)、最高コンプライアンス責任者(CCO)、最高法務責任者(CLO)のほか、法務顧問や事業部門長に就いている人でもいいだろう」と述べている。

両氏は「CAIOが必要な理由はシンプルだ」と指摘する。「AIはいまだに未成熟であり、ほとんどのビジネスの現場ではその効力が証明されていない。そして、真の価値をビジネスに提供するためには、セキュリティ、プライバシー、ガバナンス、(コンテンツなどの)出所、倫理、真実性といった、AIを巡るさまざまなことが必要だ」
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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