暗号資産

2023.10.16

現物ビットコインETFが来年にも認可の可能性、SECが「控訴見送り」で

Beneath Blue / Shutterstock.com

米デジタル資産運用会社のグレースケール・インベストメンツは8月末に、ビットコインETF(上場投資信託)をめぐる米証券取引委員会(SEC)との訴訟で勝訴したが、ロイターは10月13日、匿名の関係者の話としてSECがこの裁判の控訴を見送る方針だと報じた。

ワシントンの連邦高裁は8月、SECがグレイスケールの現物ビットコインETFの申請を却下したのは誤りであるとの判決を下していた。暗号資産業界の規制強化を目指すSECが控訴しない方針を決定したことで、現物のビットコインETF申請が再検討される道が開かれることになりそうだ。

「SECの控訴の見送りは、業界にとって重要な転機を示すものであり、SECが裁判所や米下院金融サービス委員会からの圧力に直面していることを考えると、承認が果たして許可されるかどうかではなく、いつ許可されるかが問題だ」と投資会社XBTOのフィリップ・ベカジCEOはEメールでコメントしている。

グレイスケールに加えてブラックロックやフィデリティ、インベスコなどの合計17兆7000億ドル(約2644兆円)を預かる資産運用会社が、現物ビットコインETFを申請している。

「これらの企業の申請が認められれば、政府系ファンドや年金基金、IRA(個人退職勘定)など、これまでデジタル資産への投資機会を得られなかった他の機関にとって、新たな可能性が開かれることになる」とベカジは指摘する。

「当局が完全な査定を終えれば、来年の第1四半期には認可が下りる可能性が高い。そのため2024年には他の多くの申請が承認される可能性が高く、機関投資家による暗号資産の採用にとって前向きな一歩となるだろう」とベカジは付け加えた。

世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクはCEOは長年、ビットコインを「マネーロンダリングの指標」と呼んできたが、今年に入り突如その姿勢を改め、世界の金融業界に衝撃を与えた。彼は、ビットコインと暗号資産が非常に国際的であるため、米ドルを含む伝統的な通貨を「超越する」ことを期待していると述べている。

フィンクは7月のCNBCとのインタビューで「ビットコインと暗号資産は、金融に革命を起こす可能性がある。当社は投資を民主化する責任を負っている」と述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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