人間のリクルーターが、AIエージェントに「ChatGPTのような製品を扱った経験」や「一流テック企業での技術経験」といった要件を伝えた結果、ザヴァラのプロフィールにたどり着いたという。ザヴァラは、ムーンハブのリクルーターから連絡を受けるまで、インフレクションAIの名前を聞いたことがある程度で、求人情報については知らなかったという。
「我々は、企業のために『隠れた逸材』を発掘する手助けをしている。多くの場合、候補者は積極的に面接を受けているわけではないが、転職について話し合うことには関心を抱いている可能性がある」とムーンハブの創業者でCEOのナンシー・シューは話す。
ムーンハブは1月にサービスをリリースして以降、インフレクションやAnthropic(アンスロピック)など評価額が10億ドルを超えるユニコーン企業や、Atomic AI、Hippocratic AI、You.comなど100社以上の顧客を獲得している。同社は10月4日、コースラ・ベンチャーズとGV(旧グーグル・ベンチャーズ)が主導したシードラウンドで、1000万ドル(約15億円)を調達したと発表した。
このラウンドには、Time VenturesやDay One Venturesのほか、ユーチューブの元CEOのスーザン・ウォジスキなどのエンジェル投資家も参加した。シューによると、ムーンハブの収益は、ローンチから1年以内に100万ドルを超えたという。
「我々は、アンスロピックとインフレクションと最も早く提携した人材パートナーの1社だ。アンスロピックの場合、同社が社内リクルーターを採用する前から協業していた」と、シューはいう。
リクルーターは、ムーンハブのチャットボットに求人内容や企業情報などのコンテキスト情報を入力することで、関連性の高い候補者を数百人規模で探し出すことができる。また「ベイエリアにいるアイビーリーグ出身者を抽出して」といったプロンプトを入力し、その中から類似する企業や似たテクノロジーを使っている企業に勤務する人材を探すこともできる。シューによると、同社の顧客はテック企業にとどまらず、高齢者ケア企業のLifeWorxや電気ボートメーカーのNavier、駐車場プロバイダーのDiamond Parkingなども同社の技術を導入しているという。