10億人以上の公開プロフィールを学習
ムーンハブのAIリクルーターは、LinkedInやUpwork、GitHub、Google Scholar、Overflow、StackOverflow、ツイッターなどのサイトから取得した10億人以上の公開プロフィールのデータベースを使って訓練されている。同社は、独自の大規模言語モデル(LLM)に加え、OpenAIやCohere(コーヒア)、アンスロピックが開発したモデルなどを使用して会話型リクルーティングエージェントを構築した。シューによると、同社の強みは「カスタム検索拡張生成フレームワーク(custom retrieval augmented generation framework)」という、リクルーティング専門家の知識などの追加情報を迅速に組み込み、通常のLLMに比べてチャットボットの回答の質を向上させることができる技術にあるという。
現状、ムーンハブでは人間のリクルーターが候補者と連絡を取り、面接の日程を決めたり、採用プロセスの管理を行っているが、ゆくゆくはAIが面接以外のすべての業務を担うようになるという。しかし、候補者の発掘やスクリーニングにAIを用いることで、特定のバックグラウンドを持つ候補者を排除したり差別したりするといったバイアスが生じる可能性がある。シューは、雇用主が候補者の多様性を高めることができるようにしたり、モデルの学習に用いるデータを多様化することで、AIリクルーターをより公正にしたいと述べている。
「AI技術を日常業務に導入していない企業の多くが、AIネイティブ企業になるための手段としてムーンハブを採用している」とシューは話す。彼女は、ムーンハブ以外にも、自身のベンチャーキャピタル「Xu Ventures」を経営している。
シューはムーンハブを設立する前、スタンフォード大学でコンピュータサイエンスの博士号を取得し、スタンフォード人工知能研究所でカスタマーサポート向けなどのAIエージェントを構築するための基礎的なモデルの開発に取り組んでいた。彼女は人材紹介会社の経営にも携わり、短期間に質の高い候補者を見つけることの難しさを学んだ。その経験から、ムーンハブの設立を思い立ったという。
「ムーンハブを利用すれば、金曜の夜にネットフリックスを見ながらAIとチャットし、5分後には気に入った候補者を50人発掘できる。これは、多くのリクルーターにとって魔法のような瞬間だ」とシューは語った。
(forbes.com 原文)