新型コロナは、死亡を引き起こすという点では、昨年ほどの影響はないとはいえ、公衆衛生上の懸念であることに変わりはない。これは特に、高齢者や免疫不全者、複数の合併症を持つ人など、弱い立場にある人たちに当てはまる。全米では毎日平均155人が新型コロナに関連した原因によって死亡している。
今年、新型コロナで亡くなった有名人には、米国シンガーソングライターでギタリストのデヴィッド・クロスビー(元CSN&Yのメンバー)もいる。81歳だった。クロスビーと同じ頃、俳優のベン・マスターズも新型コロナの合併症で亡くなっている。75歳だった。
米国では、2023年に新型コロナが原因で死亡した人の90%近くが65歳以上である。さらに、この年齢層は集中治療室(ICU)利用者の61%を占めていた。
米国疾病対策予防センター(CDC)が先に発表した調査によると、今年1月から8月までに記録された新型コロナ関連の入院のうち、65歳以上の年齢層が63%を占めている。これらの患者の大半は、2つ以上の基礎疾患を抱えていた。さらに、入院患者のうち、追加接種も含めてコロナウイルスの予防接種を完全に受けていたのは24%に過ぎなかった。
2022年8月に発表されたCDCの研究によれば、ワクチンの導入最初期からの全国的なデータセットを調査した結果、未接種の成人と一連のワクチン接種を受けた成人との間では、65-79歳の成人の新型コロナでの死亡リスクは9倍、80歳以上の成人では4倍高かった。
最近のワシントン州でのデータによれば、2023年の8月30日から9月26日までの期間で、ワクチン未接種の人たちは、一連のワクチン接種を受けたか、少なくとも1回の追加接種を受けた人たちと比べて、1.9倍から6.8倍もの高確率で新型コロナによる入院のリスクがあった。
ワクチン接種率が相対的に低いこと、特に脆弱なサブグループの間で低いことが、同レベルの諸外国と比較して米国の新型コロナの結果を悪くしている。特に、重症化するリスクが最も高い65歳以上の人たち、免疫不全の人たち、他の病気を併発している人たちの間では、米国は新型コロナのワクチン接種率で他の裕福な国々に対して遅れをとっている。
このことは、重症化しやすい人々が予防接種を受けたり、追加接種を受けたりする必要性が相変わらずあることを物語っている。
もちろん、死者数だけが新型コロナの罹患にともなう影響の全体像を伝えるものではない。新型コロナウイルス後遺症(ロングコビッド)は何百万人もの患者に影響を及ぼしており、重篤な疾患に最もかかりやすい人々だけに影響があるわけではない。先月公表されたCDCの報告によれば、35-49歳の成人の8.9%が新型コロナウイルス後遺症を経験しており、50-64歳の年齢層ではその割合は7.6%だった。興味深いことに、65歳以上の成人は新型コロナウイルス後遺症を経験することが最も少なかった。
要するに、全体としての免疫が増加するにつれて新型コロナによる死亡は時間とともに減少しているが、それでも重篤な疾患になりやすいサブグループが存在しているのだ。
(forbes.com 原文)