「メタバース幻滅期」の闘い方 東京ゲームショウ、モビリティショーで発信

宇藤 智子

先ほども触れましたが、我々が目指している未来はゲームとウェブ・アプリ、両者が融合した世界です。

僕が強く感じている課題は、clusterは今どちらかというとウェブ・アプリ的な側面、いわゆるSNS的な方向に寄り過ぎちゃってるなということです。このまま進むと、DiscordやLINEの領域により近付いてしまいかねないという危機感があります。

それをもうちょっとゲーム側に寄せて、真ん中を狙っていきたい。ゲームとウェブ・アプリの真ん中の新しい大きな領域だと体現するプロダクトを作っていきたいとの想いがあります。

ゲームのクリエイティビティもそうですが、クリエイターの皆さんが作れるもの、表現をもっと増やしたい。今までゲームとして作れなかったものを作れるようにすることにも挑戦しています。先日公開したベータ機能もその一つです。
「東京ゲームショウ2023」クラスターブース

そして、遊んでくれる人たちもどんどん広がっていってほしい。カルチャーが全然違う領域の人をよりラジカルに取り込んでいくことを目指しています。

clusterの世界をもっととっつきやすくしたり、入りやすくしたりというところは、ゲーム業界で研究され使われてきたノウハウが生きる部分だと思っています。

今回の東京ゲームショウでもゲーム系のインフルエンサーの方をたくさんお呼びして力を貸してもらいましたし、今年新たにクラスターにジョインしてくれた、元ドラゴンクエストシリーズのプロデューサーである青海(亮太)さんがまさに得意とするところでもありますので、これからもどんどんやっていきます。

10億人が使う「世界のインフラ」になるために

とはいえ、新しい領域の人やカルチャーが入ってくること自体、今のcluster住民の皆さんにとってある程度居心地が悪くなってしまいかねない事態で、実際不安に感じているとの声も聞いています。そういう状況に関しては、当然すごくセンシティブに考えています。

結論から言うとclusterは単なるゲームにはなりません。

ただ、世界のインフラになるためには多様性を志向していかねばなりません。これはクラスターのチャレンジです。

既存のユーザーの皆さんにも理解してもらいながら、新しいカルチャーをどんどん受け止められるくらい、しっかりとした器としてのシステムになれるか。その過程で「clusterじゃなくなっちゃったな」と感じられてしまうようなことにはしたくないと思います。

僕は2030年までに10億人が使うようなメタバースが生まれるはずだと思っています。そしてシェア1位と2位でマーケットの大体を占める状態になると。

そういうサービスはだいたい形が決まってきてると考えていて、それこそすでに1億を超えるくらいのユーザーがいるFortniteやRobloxは、かなり筋の良いところにいると思います。でもまだ10億という数字からすると桁が足りていない。
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画像=クラスター 構成協力=でんこ 編集=宇藤智子

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