「メタバース幻滅期」の闘い方 東京ゲームショウ、モビリティショーで発信

宇藤 智子
メタバースという概念が目指しているのは「私たちの認識している現実世界をコンピューターによって作れるようにすること」に尽きるわけですが、当然、現代のコンピューターアーキテクチャには限界があります。

その限界が存在する中で、表現を突き詰めるべく、ハードの性能をどこまで引き出せるかに挑戦し続け、妥協することなく最高のエンターテインメントに仕上げる。「このゲームはすごく楽しいし好きだ。こんな世界に住みたい」と思わせるものを作ってきたのがゲーム業界です。

そうしたカルチャーに対するリスペクトがすごくあります。目を見張るテクノロジーが随所に詰まっていて、すばらしい才能を持ったゲームクリエイターの皆さんがいる。マーケットもある。

そこからさらにウェブ・アプリの文化と出会うことによって、遊びとしてのゲームに留まらず、世界をまるごと飲み込んでしまうような大きなマーケットになる。それがメタバースだと思っています。

この日本特有の資産がメタバースに向いたらどれほどすごいことが起こるか。そしてそんなゲームとゲーム以外との架け橋のような存在に我々がなるんだとしたら、嬉しいですよね。

そうした想いも込めて、今週28日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」にも出展します。

新たに4社を加えた国内自動車メーカー12社*とともにリニューアルした「爆創クラブ」をお届けし、トークセッション(10月31日)にも登壇して、メタバースxモビリティの未来についてお話する予定です。ここでも新たなカルチャーの創出、発信を目指していますので、ぜひ遊びに来てください!
* いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、日野自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、ヤマハ発動機、UDトラックス
爆創クラブ(画像は開発中のものです)

爆創クラブ(画像は開発中のものです)

幻滅期をどう闘うか

今年の東京ゲームショウで感じたのは、昨年はメタバースやWeb3などの勢いがすごくありましたが、かなり落ち着いたな、という印象でした。

ガートナーが出しているハイプ・サイクルという図(日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年)がありますが、メタバースもWeb3もご多分に漏れず幻滅期に入っています。ただ2023年に幻滅期に入るというのは僕は昨年から言っていて、社員たちにもずっと警告していました。

「今年は竜巻のように『メタバース』ともてはやされる代わりに、来年は無風になる。むしろ向かい風になる」と。どんな新興のマーケットや技術も、過剰な期待があって、そこから急転直下の幻滅期が来るものですから。

その間そこで腐らずに、仲間を集められるか、戦うためのお金を集められるかが本当に重要だと思っています。

しびれを切らして、本質的じゃない開発や仕事をしないのが大事です。辛いときにやってしまいがちなのが、全然違うことをやってしまうということです。

そういうときにこそ実現したい未来像に立ち返りながら、グッと腰を据えてやるというのが、新しいマーケットを作っていく上で必要だと思っています。

リブランディングで目指す、カルチャー融合の方向性

clusterは来年以降に向けて、リブランディングの準備をしています。

これまでclusterは根幹の理念を持ちつつ、色んなものを試行錯誤しながら、体験を継ぎ足しながら、ユーザーのニーズに応えながら、作ってきたという側面があります。そのため、全体のデザインとかサービスの形とかが一気通貫になっていなくて、体験がごちゃまぜになってしまっているところがあります。
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画像=クラスター 構成協力=でんこ 編集=宇藤智子

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