マーケティング

2017.10.15 10:00

「話題の波」はこうしてできる!BUZZサーフィン理論

Forbes JAPAN編集部

1976年に「日清のどん兵衛」が登場してから41年。いま、発売以来最高の売り上げを記録していることをご存じだろうか?大ヒットの答えは、「バズ」である。芸人が発した言葉に、日清食品側がうまいリアクションで応じた途端、それは大きな波となって流行を呼び起こしたのだ。


私たちは、仕事柄、よく「バズらせたい」という相談をいただきます。つまり話題をつくりたい、商品をブームにしたいという相談です。そういった依頼はバズという言葉が生まれるずっと前からあったのですが、そのバズのつくり方が、最近少し変わってきています。今日はその「バズのつくり方」について、お話ししようと思います。

Yahoo!やTwitter、Instagramなどのタイムラインを、3~4日眺めてみてください。世の中には、実に多くの人たちがいて、さまざまな「話題の波」が生まれていることがわかります。私たちは、企業の課題に応えるなかで、いかなる人々が、どんな話題をつくっていて、企業がそれにどう反応すれば、新しい話題の波が生まれるか、ということを考えるようになりました。

例えば、日清食品の「10分どん兵衛」という仕掛けがあります。芸人のマキタスポーツさんが「東京ポッド許可局」(ラジオ)で「どん兵衛は規定時間の5分で食べるより10分で食べるほうがうまい」と発言し、そのネタがじわじわと話題になっていました。
「日清食品は10分どん兵衛のことを知りませんでした」と謝罪広告。マキタスポーツと緊急対談も。

「日清食品は10分どん兵衛のことを知りませんでした」と謝罪広告。マキタスポーツと緊急対談も。

日清食品はその波をキャッチし、企業からの「おわび」というリアクションをとったところ、「10分どん兵衛って何?」「麺は伸びないの?」と、話題の波が急速に拡大。その波にさらにたくさんの人々が乗り、10分で食べるどころか、20分で食べたり、0分(お湯を注がず食べる)や10時間で食べる猛者も出現。スーパーやコンビニの棚からどん兵衛はどんどんなくなり、商品は発売以来40年間で最高の売り上げを記録した、というケースです。

これは、世の中に生まれた話題の波をキャッチし、企業がある方向からレスポンスすることで、大勢の人を巻き込む大波を起こすという方法論です。私たちはこれを「BUZZサーフィン理論」と呼んでいます(第一発見者はチームのソーシャルマーケッター藤田啓介くん)。

話題を起こす方法はたくさんありますが、この理論は話題の波が可視化できなければ実現しません。今だからこそできる、新たなコミュニケーションの方法論だと思います。

昨今のコミュニケーションの状況を海にたとえてみます。これまでの企業の話題づくりは、ずっとテレビCMが主役でした。海辺にはテレビという大きな浜があり、企業はそこから自家発電的に波を起こし続けていました。しかし海にも規制緩和が起き、「テレビ浜」以外にも無数の浜があちこちに出現。あっという間に、浜はひとつの海でつながるようになりました。人々は好奇心の赴くままに自分で波を起こすようになり、ピコ太郎のように千葉の浜から生まれた波(ピコ太郎は千葉出身の歌手という設定)が、世界を席巻するようなことも起きています。
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文=川上宗一 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN No.39 2017年10月号(2017/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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