愛知・岐阜の木曽川流域に広がる尾州ウール産地で、岩田自身は5代目アトツギ。これまで接点がなかった老舗企業とスタートアップの出会いの場を設け、共創を目指す。月1回程度、アトツギとスタートアップ計14社でつくる共創パートナーとともに、一般参加も可能なイベントを開く。
コワーキングスペースは本社内一角の400平方メートルの空間を改修し、スノーピークのアウトドア用品のイスやテーブル、テントなどを導入。本社前の芝生広場(約600平方メートル)に、設備を持ち運び、外でテントを張り、コミュニティ名の通り、仲間たちと焚き火を囲むことが可能だ。総工費は約4500万円。
「業界や地域を超えて集う」子連れ参加もOK
9月には、マイクロファイナンス(小口融資)を手がけるグラミン日本と連携し、初の「ソーシャルタキビコ」を開催。貧困問題の課題解決やソーシャルビジネスに関心のある約50人が参加した。まず、岩田らがタキビコキャンパスの案内をした。岩田は「タキビコでは、いわゆるビジネスマッチングを行いません。心理的安全性のある空間で、長期的な友好関係につながるようなクロッシングの場を皆さんと一緒に作っていきたいです。また、アトツギやスタートアップに限らず、業界や地域を超えて集うことで、未知の自分を発見してほしいと思っています」と挨拶した。
会員のため5つの会議室を整備し、それぞれの部屋に羊にちなんだアートを掲げて「CAMDEN MERINO」や「GOLDEN SHEEP」などと名付けた。岐阜県各務原市出身の現代美術家奥村晃史の羊やロケットが描かれた作品「Aries」を掲げる部屋は、美術館のように椅子が置かれ鑑賞もできる。
また知的障害のある人のアートを使った事業を手がけるヘラルボニーと連携し、「CALM ROOM」として防音室も整備した。ガラス窓にはカーテンを閉めることができ、障害のある人が心を落ち着かせたり、小さな子供を連れた親もイベントに参加できるように「キッズルーム」として使えるようにした。
ライフスタイルブランド「HERALBONY」のプロダクトとして、三星グループと同じく尾州地区の長谷虎紡績が手がけるアートのラグマットや、飛騨高山の家具メーカー飛騨産業「HIDA」のソファなどを取り入れた。