「PS5 Slim」と呼ばれてきたこの薄型PS5については、トム・ヘンダーソン率いるゲーム情報サイト「インサイダー・ゲーミング(Insider-Gaming)」がしばらく前から、関係者の話として存在を報じていた。この報道が事実であったことが証明された今、同サイトが同様に報じてきた「PS5 Pro」についても、改めて注目すべきだろう。PS5 Proは今のところ公式発表はないが、PS5 Slimの存在を明かしたのと同じ情報筋が言っているのであれば、実在することは間違いない。
インサイダー・ゲーミングは、PS5 Proの開発について最初に伝えた2023年3月の記事で、2024年の年末商戦に向けて発売されると報じていた。その後、別のゲーム情報サイト「Key to Gaming」はPS5 Proの詳細な仕様として、ターゲットフレームレートの引き上げ、8Kモードの実装、レイトレーシング性能強化が行われると報じている。性能強化モデルとしては、特に驚くようなものではない。
今気になるのは、PS5 Proが実在するかどうかではなく、(1)価格はいくらになるのか(2)現ゲーム機世代にProモデルは本当に必要なのか──の2点だ。
前世代の性能強化版モデル「PS4 Pro」は、米国での価格が400ドルと、PS4初期モデルの発売時の価格と同じだった(編集注:日本での価格は、PS4が3万9980円、PS4 Proが4万4980円と、Proモデルは約5000円高かった)。しかし、ソニーは今回の小型版PS5で価格を下げるどころか上げており、PS5 Proが400ドルになることはなさそうだ。また、インフレを考慮すると、PS4が発売された2013年の400ドルの価値は、現在では524.50ドル相当となる。
今回発表された新モデルの価格を考えると、PS5 Proの価格が500ドルを切るとは思えない。600ドルは上げ幅が大きすぎるように思える。ソニーはPS3の上位モデルを600ドルで発売して失敗して以来、この価格帯を避けている。550ドルはあり得るが、そうするとライバルの「Xbox Series X」より50ドル高くなる。マイクロソフトはXbox現世代機で性能強化版を出す意向はないとしているが、米連邦取引委員会(FTC)との訴訟に関連して流出した資料からは、同社も近々、デザインを刷新した新モデルを発売することがわかっている。
市場はPS5 Proを必要としているのだろうか? PS5は、深刻な在庫不足により、多くの人が手に入れられない状態が2年ほど続いた。PS4世代でProモデルが発売された時期を基準とすると、PS5 Proの登場はすでに1年遅れていることになる。もし現世代が2027年あるいは28年まで続くような長いものになるのであれば、発売と同時に人々が店頭に殺到するような人気製品にはならないとしても、いずれProモデルを発売することは理に適っているだろう。
(forbes.com 原文)