経営・戦略

2023.10.15 13:30

BtoBとBtoCで人格が変化? 新規事業に成功した経営者の共通点

クリエイティブディレクターか、営業マンか

そのブランドマネジャーをつとめるのが、福田恵介氏である。私にブランドの世界観を語ってくれたときの彼は、有名クリエイティブディレクターのような雰囲気だったが、その後に、会社の本業である機械向け刃物部品の製造現場を案内してくれたときは、まさにB to Bの営業マンのように経済合理性に立った人格にガラッと変わったことに驚いた。

まさに、脳みそを使い分けているんだなと感心してしまったのだが、B to Cでヒット製品を生み出している人たちには、共通してこのタイプが多いことを思い出した。ただ、この切り替えは簡単なことではない。B to Bのクライアントワークにおけるクセが足かせになり、B to Cの商品をつくるとき、消費者への体験イメージをもつのに苦労するケースも多く見てきた。言うは易し、やるは難しである。しかし、「脳みそを使いわけるんだ」と意識するだけでも、自社事業の多角化に向けて、大きな違いを生むと感じている。

自社の技術を大なり小なり活用したB to C事業は、実は本業のB to Bの技術アピールになったり、人材採用のプラスになったりと、各社好影響につながっている。これを我々はB to C to Bと呼んでいるのだが、この自社内シナジーをつくるうえでも、脳みその使い分けを意識し続けるメリットは大きいように思う。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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