欧州委員会のティエリー・ブルトン委員は、マスクに宛てた書簡の中で、デジタルサービス法(DSA)の遵守を念押しした。
「あなたはまず、どのようなコンテンツが許可されているのかを明確にする必要がある。これは特に、Xで拡散している暴力的なコンテンツに関連するものだ。一夜にして行われた最新のポリシーの変更により、Xの欧州のユーザーは不安を感じている」
ブルトン委員はまた、XがDSAの規則に則って違法なコンテンツに迅速に対応し、削除することを求めている。Xのプラットフォーム上では、無関係な武力紛争の映像を再利用したものや、ビデオゲームの映像など、明らかに虚偽の情報が拡散していると同委員は指摘した。
マスクはこの要請に対し「私たちのポリシーは、すべてがオープンソースであり透明性がある。あなたが言及している違反をリストにして知らせてください」とXの投稿で発言した。これに対しブルトン委員は、マスクが「フェイクニュースや暴力を賛美する投稿が拡散している事実をよく知っているはずだ」と非難した。
Xのトラスト・アンド・セーフティチームは、ハマス関連のアカウントを削除し、残酷なコンテンツや暴力を賛美する数万件の投稿に対処したと主張した。しかし、Xには今もなお、フェイクニュースが溢れている。
今年5月に、その当時はツイッターと呼ばれていたXは、EUが偽情報の拡散防止のために定めた自主行動規範(Code of Practice on Disinformation)を離脱していた。その後、昨年11月に法制化されたDSAが8月に施行されている。
Xなどのプラットフォームは、DSAの規則を守らなかった場合、世界の売上高の6%を上限とする罰金を支払う、もしくはサービスの停止に追い込まれる可能性がある。Xが支払う罰金は、2億5000万ドル(約370億円)以上に達する可能性がある。
Xはまた、EUによるさらなる調査に直面することになりそうだ。「あなたのプラットフォームには、他にも複数のコンプライアンス違反が指摘されている。私のチームは、間もなく改善命令を行う」とブルトン委員は述べている。
(forbes.com 原文)