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2023.10.13 17:30

丁寧に会話を重ねてつくる、ジャヌの心が動くおもてなし

田中紀子 ジャヌ東京 総支配人

東京タワー近くで開発が進む麻布台ヒルズ。今秋ここにラグジュアリーホテルブランド「ジャヌ(Janu)」の世界第1弾・ジャヌ東京が誕生する。総支配人に抜てきされたのが、田中紀子だ。幼少期を米国で過ごし、大学卒業後法律事務所に勤めるも「海外で人と接する仕事がしたい」とホテル業界転身を決意。ホテル経営学を学び東京のホテル勤務後、香港の外資系ホテルへ。

「とにかく忙しい街・香港で経験を積めば世界中どこでも仕事がこなせるはず」。客室数500の大規模ホテルでチームで効率よく仕事をこなす重要性を学んだ。そのぶん縦割りで自分の業務に集中しがちに。ゲストともっと接したいという気持ちが募っていった。そんな折田中に声をかけたのがアマン東京総支配人兼アマンの日本・韓国地区統括ディレクターの八木朋子だ。友人でもある八木から伊勢志摩の「アマネム」の総支配人へ推薦された。客室数は32。香港のテキパキした業務とのギャップに驚いた。豊かな自然の力にも助けられゲスト一人ひとりとゆったりと向き合う接客に邁進した。

ジャヌ東京のコンセプトは「コネクティッドネス(つながり)」。ゲストが出会い互いに充足感とリラクゼーションを得ることを目標に、グループでのウェルネスプログラムやアクティビティを提供。田中は「つながりを奪われたコロナ禍を経てより大切なコンセプトになった。経験を存分に生かしたい」と意気込む。

田中にとってもうひとつ大切なつながりが家族だ。香港時代に出産、現在香港にいる夫・娘と離れ単身日本で働く。当初夫は離れて暮らすことに反対。しばらくは関係が悪化したが丁寧に話し合いを重ね、家族内で意見をすり合わせた。頻繁に会えないぶんビデオ通話等で常に会話することを心がけている。接客やマネジメントにおいても思いを宿泊客や部下に直接伝えることが大事と考える。

「例えばレストランで若いシェフも挨拶に行き、手がけた一品への思いを伝えることで会話が生まれ次の接客に生きる。そんなつながりが続いていくホテルをつくりたい」


たなか・のりこ◎津田塾大学英文科卒。法律事務所での勤務ののちハワイ州立大学マノア校でホテル経営学修士課程修了。東京、香港のホテルで勤務。2019年よりアマンが手がける伊勢志摩のリゾート「アマネム」の総支配人に。2023年秋に開業予定の「ジャヌ東京」の総支配人に就任する。

文=菊池友美 撮影=林 孝典

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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