残念ながら、伝説のバベルの塔はそのアイデアを潰してしまった。
これまでの車両データは各社独自の文化が縛ってきた。これに対して、今日ソフトウェア定義車両というかたちで出現している「走るコンピュータ」を、よりよく開発、改良、制御するために、その「バベルの塔」を倒そうというという動きが生まれている。
これが、デトロイト郊外で開催されるコネクテッド・ビークル・システムズ・アライアンス(COVESA)の総会で議論されている難問だ。
2年の歴史を持つこの組織(2009年に設立されたGENIVIアライアンスから生まれた)は、業界主導のアプローチを開発することに努めているが、そのエグゼクティブディレクターであるスティーブ・クラムはインタビューで、同組織は自動車業界が車両信号仕様(VSS、vehicle signal specification)と呼ばれる共通データ言語の設定に関する重要度やコンセプトについて議論する「場」とみなすことができると説明している。
クラムは「設立当初から全面的に、自動車業界のためのオープンソリューション、オープンソースソフトウェアを提供してきました」という。「すべてのレガシーなOEMは、それぞれのレガシーな製品を持っています。たとえばBMWの車両におけるブレーキペダルの押し下げを示す信号は、GMの車やフォードの車両などで完全に異なる方法で定義されています。私たちは、OEM間のこの一貫性のなさが、データをクラウドに送り込む必要がある新しいサービスの利便性を損なっていることを認識しています。これこそが『バベルの塔』なのです」
ゼネラルモーターズ(GM)の戦略的技術イニシアティブ担当であるダン・ニコルソン副社長は、彼が勤務する伝統的な自動車メーカーGMは、VSSを採用してハードウェアとソフトウェアを分離することで、時代遅れで非効率的な実践からの脱出の方法を見つけようと、COVESAと協力することにオープンだと語る。