モビリティ

2023.10.13 15:30

「バベルの塔」となった自動車ソフトウェアの非互換性解決を目指すCOVESA

安井克至
COVESA会議の基調講演で、ニコルソン副社長は、自動車メーカーがシステム、いわゆるブラックボックスの電子制御ユニット(ECU)とソフトウェアをサプライヤーから購入し、その結果、1台の車両に100個以上のECUが搭載されるという「到底維持可能ではないモデル」について説明した。

ニコルソンは、ソフトウェアが中央演算システムから実行されるシステムに移行することがより理にかなっていると提案している。

しかし、それは変化を意味し、その変化は競合他社との協力に抵抗してきた歴史を持つ企業にとっては難しいかもしれない。

しかし、ニコルソンは、顧客は車内でより良いデジタル体験を期待しているのであり、だからこそGMはVSSをサポートしているのだという。

「VSSのようなものは、スタートする上で非常に重要で、共通のアプリやAPIを持つためにも重要です」とニコルソンは語る。「顧客はソフトウェアの標準化から利益を得ることになります。だからこそ、私たちは協力することの価値を信じているのです。そして、それを可能にするのが、オープンソースソフトウェアであり、プラットフォームのコモディティ化であり、COVESAのようなコンソーシアムなのです」

COVESAのスティーブ・クラムは、環境と電子的に相互作用するいわゆるコネクテッドカー、自動運転車、バッテリー式電気自動車、そしてそれらをサポートするインフラの開発と改良には、オープンソースソフトウェアと結びついた共通言語が不可欠であるとして、VSSの必要性を訴えている。

「VSSは自動車業界だけのものではないと認識しています。VSSはEV充電のような隣接産業に統合する必要があります。プラグの反対側に何があるのでしょうか。そう、グリッド、通信プロトコル、その他すべてのものが関係しています。利用する充電ステーションの周りにあるガソリンスタンドや関心のある場所、たとえばスターバックスやショッピングセンターなどで、運転手の経験を向上させることができるかでしょうか?」と彼は問いかける。

クラムは、自動車メーカーがVSSの利点を理解すればするほど、OEMがVSSを採用することに積極的になると考えている。そして「フォードやGM、あるいは他のメーカーの立場で話すことはできませんが、私は20年間自動車ビジネスに携わってきました。良いアイデアを思いついたとき、それが組織を目覚めさせ、『これは理に適ったことだ』というまでには、それほど時間はかからないことを私は知っているのです」と語る。

バベルの塔は倒せるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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