「バベルの塔」となった自動車ソフトウェアの非互換性解決を目指すCOVESA

伝説のバベルの塔の図(Shutterstock.com)

もし世界中の人々が同じ文字を使って同じ言語を話せば、それはとても便利なことだが、文化の多様性は犠牲になる。まあ、そのような多様性が人生を魅力的なものにしているのかもしれないが、同じ言語を話すことで協力や生産性が飛躍的に向上することは確かだ。

残念ながら、伝説のバベルの塔はそのアイデアを潰してしまった。

これまでの車両データは各社独自の文化が縛ってきた。これに対して、今日ソフトウェア定義車両というかたちで出現している「走るコンピュータ」を、よりよく開発、改良、制御するために、その「バベルの塔」を倒そうというという動きが生まれている。

これが、デトロイト郊外で開催されるコネクテッド・ビークル・システムズ・アライアンス(COVESA)の総会で議論されている難問だ。

2年の歴史を持つこの組織(2009年に設立されたGENIVIアライアンスから生まれた)は、業界主導のアプローチを開発することに努めているが、そのエグゼクティブディレクターであるスティーブ・クラムはインタビューで、同組織は自動車業界が車両信号仕様(VSS、vehicle signal specification)と呼ばれる共通データ言語の設定に関する重要度やコンセプトについて議論する「場」とみなすことができると説明している。

クラムは「設立当初から全面的に、自動車業界のためのオープンソリューション、オープンソースソフトウェアを提供してきました」という。「すべてのレガシーなOEMは、それぞれのレガシーな製品を持っています。たとえばBMWの車両におけるブレーキペダルの押し下げを示す信号は、GMの車やフォードの車両などで完全に異なる方法で定義されています。私たちは、OEM間のこの一貫性のなさが、データをクラウドに送り込む必要がある新しいサービスの利便性を損なっていることを認識しています。これこそが『バベルの塔』なのです」

ゼネラルモーターズ(GM)の戦略的技術イニシアティブ担当であるダン・ニコルソン副社長は、彼が勤務する伝統的な自動車メーカーGMは、VSSを採用してハードウェアとソフトウェアを分離することで、時代遅れで非効率的な実践からの脱出の方法を見つけようと、COVESAと協力することにオープンだと語る。
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翻訳=酒匂寛

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