新モデルはサイズが30%以上縮小し、重さは18~24%軽くなったにもかかわらず、価格は値下げではなく値上げするという離れ業に打って出た。米国での価格は、ディスクドライブを搭載する標準モデルが499.99ドルに据え置かれた一方、ディスクドライブのない「デジタル・エディション」は399.99ドルから449.99ドルに値上げされている。(編集注:日本では両モデルともに値上げし、標準モデルが約6500円増の税込6万6980円、デジタル・エディションが約1万500円増の税込5万9980円となる)
デジタル・エディション向けには、別売りのUltra HD Blu-rayディスクドライブを80ドル(日本では税込1万1980円)で販売する。値上げの根拠となるのが、このディスクドライブだ。ドライブをオプションで追加できるようにすることで、購入者により多くの「価値」を提供できるが、価格を据え置くとソニーにとって痛手となるというのがその考え方だ。とは言っても、結局は50ドルの値上げであることに変わりない。
新モデルにはまた、横置き時に筐体がぐらつかないようにする「横置き用フット」が用意されたが、これについてはまるで自転車の「キックスタンド」のようだとの冗談が飛び交っている。一方、あまり笑えない新仕様として、現モデルでは付属している縦置き用スタンドが、新モデルでは30ドル(税込3980円)で別売りされる。
これまで「PS5スリム」と呼ばれてきたこの新モデルの存在が証明されたことで、同じくうわさされてきた高性能モデル「PS5 Pro」の計画も事実であることがほぼ確実となった。気になるのは、その価格だ。新モデルが値下げでなく値上げに動いたことを考えれば、Proの価格は550ドル、あるいは600ドルになるかもしれない。インフレが続いていることや、ゲーム機市場がソニーの独壇場となっていることを考えると、十分あり得るのではないだろうか。
現モデルは、値段が据え置かれたことで新モデルよりも安い状態になっているため、すぐに在庫はなくなり、購入できるのは新モデルのみになるだろう。Xboxでも、次世代機までの中間部分を埋めるものとしてディスクドライブなしの新モデルが発売されるとの情報がリークしており、数年後に登場する次世代ゲーム機でディスクドライブが完全に消えることはほぼ間違いさそうだ。ソニーとマイクロソフトの両社がその方向性で一致すれば、消費者はいくら反発しようとも受け入れるしかないだろう。
私は、ソニーが少々自信過剰になっているのではないかと思っている。確かに、PSは多くの点でXboxに勝っている。だが、マイクロソフトが同社のサブスクリプションサービス「Game Pass」に注目度の高い新作ゲームを続々と投入する中、ソニーが値上げをしたり、独占タイトルを70ドルで販売し続けたりすれば、いずれ流れが変わる可能性がある。それについては、別の機会に議論するとしよう。
(forbes.com 原文)