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宇宙

2023.10.12 17:00

大きく軌道が傾いた彗星が地球の「現実的脅威」となりうる理由

オールトの雲から飛来した長周期彗星「C/2022 E3 (ZTF) 」。スペイン南部のアンダルシア州アラマ・デ・グラナダで撮影(Getty Images)

小惑星は、文明を壊滅させる恐れのある天体としてしばしば標的にされる。だが、地球の公転軌道面(黄道面)に対して大きく傾いた軌道から地球に接近する長周期彗星は、過去に衝突天体として地球に不意打ちを食らわせてきた。幸い、こうした彗星の侵入は、めったに起こらないようだ。けれども、天文学者らがこの種の彗星の特性を完全に明らかにするための手段を手にしたのは、ついこの数十年のことだ。

それ故、2022年上旬にメディアで大々的に取り上げられたZTF彗星(Comet C/2022 E3)や他の同類の彗星は、まれに飛来する文明崩壊級の衝突を引き起こす彗星を理解し、そのリスクを潜在的に軽減するのに不可欠な詳細情報を提供する可能性がある。

2022年3月に米パロマー天文台で最初に発見されたZTF彗星は、緑がかった色合いをしていることですぐに広く関心を集めた。緑色なのは、彗星の核を取り巻くガス状のコマに炭素が多く含まれるからだ。

英国王立天文学会の学会誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載されたZTF彗星に関する最新論文の筆頭執筆者ブライス・ボーリンは電話取材に応じ、ZTFが発見されたのは、地球との最接近の約1年前だったと語った。ZTFは双曲線軌道上にあり、今後は太陽系を離れ、星間天体の1つになると、惑星天文学者で、米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターの博士課程修了研究者のボーリンは話す。

ZTFは、地球から月までの距離の100倍ほどまで最接近した。

米ローウェル天文台のデビッド・シュライヒャーは、論文の共著者ではないが、電子メールでの取材に、ZTFは土星から天王星の軌道領域で形成された後、どちらかの惑星に接近しすぎたために、オールトの雲の方向に弾き出された可能性が高いと述べている。
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翻訳=河原稔

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