我が子が不登校になったら、原因や対応が分からず、不安に苛まれる親も多いだろう。そして何より大きな不安や恐れを抱え、混乱しているのは子供たち自身なのかも知れない。今回はテクノロジーを用いて、そんな不登校児童と親を支える不登校支援サービスを紹介したい。
1. 「平均17日」、親への指導で9割の子供を再登校に導く
先述の文科省が行った調査によると、一度不登校になった小中学生のうち、7割(72.8%)が学校へ戻れていないという厳しい現実が存在する。そうした中、平均17日、90%の割合で子供たちの再登校を実現しているプログラムが注目を集めている。「スダチ」は、発達心理学と脳科学に基づき、親に子供への接し方をオンラインで指導。子供の家庭での過ごし方を変えることによって、間接的に再登校に導く不登校解決サービスだ。
「1.正しい生活習慣を整える」「2.デジタル機器との付き合い方」「3.愛情としつけを親がしっかり行う」、3つの方針を軸として、半年以上の教育を受けたサポーターが、毎日メールベースで親を支援。毎日のように変化する子供たちに、親が都度適切な対応を取れるように伴走し、3週間後の子供の再登校を目指す。
サポート期間中、子供はスダチのサポーターに会うことはないので、親がサポートを受けていることを子供に知られる可能性は低い。同サービスでは2019年の設立以来、約600名の不登校児童を再登校へ導き、継続登校率は80%を上回るという。料金は4.5万円から。普段の生活や子供との関係など、親が簡単な10の質問に答えるだけで再登校の難易度が分かる、無料診断も実施している。
2. 意欲と自己肯定感を再び、「ゲームの家庭教師」
不登校になり、部屋に閉じこもってゲームに熱中する我が子の様子を嘆く親は少なくない。しかし一方で、オンラインゲームを通じた教育プログラムを提供し、不登校の子供たちに居場所を提供するサービスがある。ゲームのオンライン家庭教師サービス「ゲムトレ」だ。
同サービスでは、採用率10%の狭き門をくぐり抜けたプロのゲームトレーナーから直接、最大3人までの少人数クラスで指導を受けられる。子供たちはゲームを使って集中力や情報処理能力などを鍛えられるほか、ネットリテラシーやマナー、オンラインゲームとの正しい付き合い方についても学ぶ。
また、登校・不登校にかかわらず、年齢が異なる同サービスの生徒たちとのチームプレイや交流グループへの参加などを通じて、コミュニケーション能力を培うこともできる。その結果、子供たちに意欲や自己肯定感が戻り、昼夜逆転の生活が解消されたり、学校への復帰につながったケースもあるという。
トレーニングは1回あたり1時間で、料金は月4回のスタンダードブランで1万780円。創業者は自らも学生時代、約10年にわたって不登校となり、ゲームに人生を救われた経験を持つ実業家の小幡和輝氏。同氏は、不登校への偏見を無くすイベント「#不登校は不幸じゃない」の発起人でもあり、専門家として和歌山県未来創造プラットフォームの不登校ワーキングチームのリーダーも務める。