サービス

2023.10.12 08:00

学校に行けない子供と親を支える、最先端「不登校テック」3選

大柏 真佑実

3. 専用「メタバース児童館」で、安心してつながり、学ぶ 


学校でも、通学できなくなった後も、孤独を抱えがちな不登校児童。そんな子供たちが、その時の気分で訪れて安心して過ごし、自分のペースで人とつながれる場所が、メタバース上に完成した。10月5日、メタバース児童館「ロートの放課後」が、絵本のような世界観をテーマにした2Dメタバース「Nicotto Town (以下ニコッとタウン)」内にオープン。

同サービスは、現行の教育制度では力を発揮しづらい子供たちなどを支援するロートこどもみらい財団と、2008年の創業以来、安心・安全なネット上の居場所を目指してきたという日本発メタバース「ニコッとタウン」運営会社のスマイルラボが手がけている。

「ニコッとタウン」には累計160万超のユーザーがいるが、「ロートの放課後」はその専用エリアに設けられているため、一般のユーザーが立ち入ることはできない。同サービスに登録した子供たちだけが自由に出入りし、集まり、気楽に過ごせる。子供たちは専用エリアから一般のワールドへ足を伸ばすこともできるので、交友関係をさらに広げることも可能だ(※)

※ 専用エリアから一般ワールドへの移動を希望する場合には、「ロートの放課後」以外のユーザーと出会うようになること、ネットマナーを守ることなどを注意書きで表示。それに同意することで、一般ワールドへの移動が可能になる

また、「ロートの放課後」では学びの機会も提供。子供たちは音楽や生物など、多様な分野の専門家が講師を務めるロートこどもみらい財団の教育プログラムに、同サービスからZoomを使って参加できる。さらに、アバターアイテムのアイデアを募集するイベントを定期的に開催。子供たちに企画力や思考力を培う取り組みも行っていくという。

文科省によると、不登校の要因のうち「いじめを除く友人関係」(9.2%)と「親子の関わり方」(7.4%)が上位に並ぶ一方で、大人が想起することの多い「いじめ」はわずか0.2%に過ぎない。人との関係性を築けないことが不登校の大きな要因であり、そこを解決することが日本の不登校問題解決への有効なアプローチになる。

あえて不登校児童向けだと謳っていなくても、人間関係の構築や強化に役立つサービス、アプリは数多く存在する。工夫次第で、学校に行きたくても行けない子供たちに手を差し伸べることができるのかも知れない。

参考:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf

文=大柏 真佑実

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事